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第八回滑稽俳句協会報年間賞決定!
 
東京都 荒井 類
アンパンの臍の胡麻とる四月馬鹿
 受賞の感想
 拙句が第八回滑稽俳句協会報年間賞の「天」に選ばれましたこと、晴天の霹靂のごとく、ただただびっくりしております。二〇一七年(平成二十九年)一月に作句を始めた、俳歴四年目の自分のような素人(初心者)にこんな身に余る光栄が降ってくるなんて、「ビギナーズラック」とはこのことかと思っています。
 滑稽俳句協会報二〇一七年五月号初投句が載り、同八月号にはじめて〈羽織紋より飛びたちにけり揚羽蝶〉で「秀逸」をいただきました。これは励みになりました。
 浅学非才の身ではありますが、年間賞の「天」に恥じないように精進していくつもりです。八木健会長はじめお世話いただいている事務局の方々、そして滑稽俳句協会に集う仲間の皆々様に感謝申し上げ、心よりの御礼の言葉といたします。
 
 
千葉県 高橋きのこ
お年玉もらう時だけスマホ置く
 受賞の感想
 ゼロから俳句を始めて十四年目。賞などとは縁のないものと気楽に続けていて、今回「地」賞をいただきました。とてもうれしいものですね。
 今回の句は、我家の正月の集まりで、見たとおり感じたとおりを素直につくってみたものです。それにしても現今は、年代に関係なくスマホを離せない人が何と多いことか。私もその一人で、いまいち不明のまゝながら便利に使っています。ところが、先日、スマホのメモ≠ノ記録していた今年度つくった俳句をすべて削除してしまい、頭の中が真っ白に。
 この際、素の自分に戻り、紙媒体も大切に、世界文化遺産になるやもしれぬ俳句に、改めて親しんでまいります。殊に物事や事象を多面的に眺めてつくる滑稽俳句で、脳細胞に喝を入れ続けていこうと思っています。 この度は、本当に有難うございました。
 
 
三重県 田村米生
爪切って指に勤労感謝の日
 受賞の感想
 この句が協会報年間賞「人」に選ばれたという知らせを頂いたとき、新調したばかりの眼鏡を思わず掛け直しました。コロナ禍の為、外出を控える生活に日々悶々としておりました老体に、鞭を入れたように活力が蘇えり、一気に天に駆け登ったような嬉しさを覚えました。
 日頃、仕事に感謝することは、もう無縁の後期高齢者ですが、強いて仕事と言えば、何となくぶらぶらしている時に、ふと浮かんだ句を素早く脳裏から消えないうちにメモることです。直ぐメモらないと、その句は永久に消え去ります。この時、素早くボールペンを掴み、メモってくれるのが武骨な五指です。駄句でも秀句?でも直ぐメモってくれるのです。有難いことです。この感謝の気持ちを詠んだ句が受賞作となったのです。
無上の光栄です。ありがとうございました。
 
 
選 評    滑稽俳句協会会長 八木健
「天」…アンパンの穴の部分にあるのはたしかに「臍の胡麻」である。臍にあるものをほじくり出して綺麗にしたくなるのはいつもの習性。ナンセンスなことに真剣に取り組んでこそ真の滑稽俳人である。季語との組み合わせもよろしい。

「地」…今や、財布や免許証よりも大事なのがスマホ。そんな世情を描いているね。お年玉を渡した爺婆のあっけにとられた表情が浮かぶ。令和の時代の正月の風景が記録された。

「人」…勤労感謝の日といっても、周りに感謝する人もおらず、自分自身も定年退職をして久しい。何をすることもなく爪を切り始めた。この手もよく働いてくれたなあ。そうだ、誰よりもこの手に感謝しなくては。
 

 

 

令和元年八月号〜令和二年七月号特選句
   
万緑が重くてならず帽子取る
ぶら下がるパンに食いつき背丈伸ぶ
青梅はあれからずつと酒浸り
赤い腹見せ合い恋の井守かな
豪華客船目指す一匹の蟻となり
腹ばかり灼けて背泳好きな我
蜘蛛守宮怪しき家の警備員
ひらひらチョンきくきくチョチョン盆踊
絵日記にたたみこまれる蝉の声
自転するタライの中の西瓜かな
絵日記の主役となりし雲の峰
腰かける石の中より蝉の声
いと派手に声掛けてくる毒茸
炎天下昔気質は水飲まず
踊子と一緒に踊るつけ睫毛
今日も又月の引力月見酒
夕立中右往左往走る走る
針のごと顔に降る降る花火降る
私は代議士様と赤い羽根
爪切って指に勤労感謝の日
燃え尽きた赤夕暮れの曼殊沙華
街路樹のどれも裸木ヌードショウ
大それたことには非ず秋刀魚焼く
レモン切る小さい嘘つてどのくらい
ペナルティーキックに北風として加勢
里芋の親に子どもがしがみつく
公園は銀杏の実でできてをり
秋の陽にあたれば人も渋み抜け
風邪の神舞台の袖で出番待つ
のるたちでやれラグビーだサッカーだ
鍋奉行てふ要職を与へらる
土手鍋の味噌決壊の手前にて
大賞の菊は軽トラに乗り凱旋
咳の人以外全員息止めて
引力の助けを借りて餅を搗く
だれも顔見たこともなし冬将軍
初暦丸を付けしが何の丸
骨折に寝正月をば賜りぬ
お年玉もらう時だけスマホ置く
小顔には程遠きかな雪だるま
独楽回る宇宙の渦の真ん中を
人のこと気になる自分もマスクして
カタログの重さ大きさ春が来た
日向ぼこする人は皆親日派
二月は逃げる三月は去る爺老ける
去年今年自分に付ける通信簿
寒月光女がヒールを履く理由
細指のピアニシモから春立ちぬ
ウイルスに負けじと黄砂押し寄せる
警察犬今日は目溢(めこぼ)し猫の恋
その顔は食へる顔なり牛蛙
赤ちゃんの泣き真似をして恋の猫
けふはけふきのふはきのふ春の雲
二月尽外科医の如く手を洗ひ
羽ばたけば黄粉こぼるる鶯餅
愛か命か濃厚接触不可の春
名は体をあらはす例として眼張
濃厚接触初蝶と私と
アンパンの臍の胡麻とる四月馬鹿
尖がった靴で躓く新社員
藤房のはらはら三密なんのその
ゴールデンウィークゴロ寝ウィークへ
卒業の校門に犬足上げる
濃厚な接触できぬ春なんて
それぞれのマスク褒め合ふ五月かな
ランドセル手足生やせぬままにかな
ストローの穴ある手づくりマスクかな
千手観音百足十匹と握手
秒針が動き出したる時計草
噛み合はせ悪そな山羊や草茂る
これ以上望まない田水ひたひた 蜘蛛の巣は百パーセント蜘蛛の糸
椋本望生
山下正純
八塚一
花岡直樹
吉川正紀子
高橋きのこ
山下正純
椋本望生
森岡香代子
八塚一
堀川明子
久我正明
竹下和宏
伊藤浩睦
大林和代
田敏男
相原共良
久我正明
西をさむ
田村米生
吉川正紀子
青木輝子
白井道義
椋本望生
柳 紅生
横山洋子
月城花風
荒井 類
田村米生
山本 賜
高橋きのこ
工藤泰子
壽命秀次
久松久子
柳 紅生
田敏男
田中早苗
久松久子
高橋きのこ
花岡直樹
桑田愛子
山本 賜
山本 賜
堀川明子
泉 宗鶴
久我正明
桑田愛子
上山美穂
堀川明子
田敏男
小林英昭
山田真佐子
百千草
原田 曄
村松道夫
南とんぼ
小林英昭
桑田愛子
荒井 類
久松久子
土屋泰山
堀川明子
久我正明
田村米生
高橋きのこ
壽命秀次
南とんぼ
土屋泰山
日根野聖子
井口夏子
鈴木和枝
八塚一