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第十回滑稽俳句協会報年間賞決定!
 
愛媛県 花岡直樹
行く年をスピード違反で逮捕せよ
 受賞の感想
 年賀状、餅つき、大掃除、お飾りやおせち料理の準備など、年末が忙しいのは毎年わかっていること。それに輪をかけて、日本人はけじめをつけるのが好きなのか、「この仕事、年内に・・・」というのが増えてきて、ここ数年の年末は何時もパニック状態です。
 そんな学習能力のない自分を戒め、ちょっと慰めるつもりの句でした。
 俳句歴=滑稽俳句協会在籍期間、というまだまだ未熟な私ですが、還暦 を過ぎて退化し始めた脳を活性化し、現状維持するために楽しく頑張って います。
 年間賞は、裏面には時々載せていただいていましたが、表の「天・地・ 人」など夢のかなた、と思っていたところ、今回受賞のお知らせをいただ き、とても嬉しく思っています。
 八木会長様、事務局、編集部の皆さん、そして全会員の皆さん、これからもよろしくお願いします。
 楽しんでいきましょう! 
 
 
東京都 藤森荘吉
簡単な話もつれる夜長かな
 受賞の感想
 会員として協会発足以来投句していますが、この頃途切れ気味の投句になり、些か劣後感を抱いていました。
 そんな折に拙句が年間賞「地」に選ばれ、誠に嬉しい限りです。
 入選句は、世の中とかく、ちんぷんかんぷんで、へんてこりんなことが多くなり、話がもつれやすいので、出来た句です。時間が許す限り、もつれにもつれるのも、またよし、かもしれません。
 俳句に親しむ人が増え、伝統俳句、現代俳句、前衛俳句、難解俳句、滑稽俳句、文人俳句、おーいお茶俳句、タレント俳句、バラエティ番組俳句、新聞俳壇俳句、カルチャーセンター俳句、絵手紙俳句、環境に優しい俳句など、枚挙にいとまがない昨今です。
 とはいえ「つまんない句」「分かんない句」は、私にとって俳句じゃぁない。斯くなれば、『自分に優しい俳句』に浸り切ってみようかと思います。 
 
 
愛媛県 上山美穂
透明な線を描いて燕とぶ
 受賞の感想
 春から夏にかけて見かける燕の飛ぶ姿はとても素敵で、上昇したと思えば急降下。そのスピード感あるスムーズな動きには目を見張るものがあります。
 絵にしたら、その後ろに一本のラインが描かれるけれど、実際の空間には…と思った時、なんだか透明な線が見えた様な気がしました。
 自分の気持ちを五七五に詰め込んで日記の様に残しておける滑稽俳句。私は空を見上げるのが好きらしく、小学二年生の時の日記に、こんな風に書いていました。
 休み時間にひこうきを見た。すき通ったしゃぼん玉みたいな色をしていた。(一部省略)ひこうきはどんどん上へあがっていく。あとの方、青い空の中にかくれて、とうとうきえてしまった。「うちゅうにいったのかな」と思った。
 滑稽俳句協会報年間賞に選んでいただきました事、本当に本当に感謝致します。  
 
 
選 評    滑稽俳句協会会長 八木健
「天」…「行く年」は非情である。振り返ることもせず、あっという間に去っていく。こちらの事情などおかまいなしである。なんという乱暴、暴挙か。そういう態度なら法的手段をとるしかない。罪状はスピード違反。この数年は特に早過ぎる。

「地」…「夜長」は、いろいろなことができて楽しめる時間。プラスイメージであるが、そこに「もつれる」というマイナスイメージの下世話な用語を組み合わせた。なるほどこれはベテランの腕であり、滑稽俳句の技の一つの「裏切り構成」である。

「人」…「詩は科学ではない」ことは誰でも知っている。しかし、科学的事実から自由になって発想するのはなかなか難しい。無いものを見てあるかに描くには、柔らかな頭と優しい眼、遊び心が必須である。
 

 

 

令和三年八月号〜令和四年七月号特選句
   
孑孑の字面の奇妙水たいら
かき氷おばちやんもつと盛り上げて
短夜や来し方行く末入り混じり
盆踊り輪に入り難く抜け難く
屁理屈のよく出る口から枇杷の種
板の間に足裏吸いつき夏来る
ねえみんなプールの帰り何食べる
頭痛してちよつと幸せかき氷
ファッションや女もすててこはく時代
天文の学者気分で外寝かな
ビーチバレー足の裏まで日焼止め
短冊に直訴のありぬ星まつり
枯れる夢ばかり見ている水中花
古書売つて今宵たつぷり新走
軍歌しか知らねえと立つ敬老会
犯行を誇示する鵙のテロリスト
うしろから鰻の話ついて来る
骨密度褒められてゐる敬老日
高鋏よろけて柿の空掴む
コロナ禍のトンネルに入り穴惑い
町人から武士に出世の秋刀魚かな
ピーマンと不仲の兄や唐辛子
簡単な話もつれる夜長かな
似て非なる余命と余生敬老日
魚板打てば皆ちりぢりに鰯雲
蕎麦通は通通通と音立つる
誰にでも心の中にある枯野
灯火親しめど眠気には勝てません
朽ちた杭にトンボがトンボ連れて来た
文化の日すいすい泳ぐスマホの指
行く年をスピード違反で逮捕せよ
街を踏むゴジラの心地霜柱
散りたがる咲きたがり屋の山茶花は
熱燗の冷める頃には泣き上戸
デパートに入口出口できて冬
自動ドア枯葉に先を越されけり
特別に磨かれて出る初日かな
淑気満つ手は合掌のスクワット
柚子風呂に囃されてゐる乳房かな
初鏡何してるのと問はれけり
霜降りの大根霜降りの肉に勝つ
配達の女性は歳暮マリアかな
不経済学部も無事に卒業す
欠伸出て春のデートはジ・エンド
蜃気楼見かけ以上の安普請
風花は冥土の文の書き損じ
振り出しに戻る話や初電話
おお寒とこ寒の後の余寒かな
葱坊主空支へんと直立す
ロダンの像背伸びしたくてあたたかし
あくびの猫ののどの奥まで春深し
雪掻きや大地の背中に届きたり
こんにやくの総身につぼ針供養
太陽を掴み損ねし辛夷かな
重力の束が丸見え藤の花
専制のリーダーをらぬ蝌蚪の国
ポリバケツ蹴っ飛ばしたる春一番
意地を見せ腸見せぬ焼栄螺
しゃぼん玉かがくの色を輝かす
春昼や検温銃が通せんぼ
迷ひなき万緑を見よロダン像
壺焼きの蓋を死守する馬鹿力
バーコード外し退院山笑ふ
いななきはファンファーレなり春の駒
風止めばはらぺこになり鯉幟
踏みつぶす白いビル群霜柱
浴衣きた人類あまた浅草寺
人間に賞味期限や冷奴
蛍の夜つなぎ損ねし左の手
欲しいのは地球にかざす日傘です
透明な線を描いて燕とぶ
新聞を読むのが仕事梅雨に入る  
百千草
森岡香代子
横山洋子
峰崎成規
日根野聖子
吉川正紀子
谷本 宴
木村 浩
山田真佐子
田敏男
浜田イツミ
峰崎成規
青木輝子
赤瀬川至安
久松久子
小林英昭
山本 賜
田中早苗
椋本望生
青木輝子
花岡直樹
岡田廣江
藤森荘吉
田村米生
田村米生
吉川正紀子
稲沢進一
赤瀬川至安
山本 賜
和田のり子
花岡直樹
峰崎成規
吉川正紀子
山田真佐子
山本 賜
久松久子
南とんぼ
久我正明
久松久子
山本 賜
岡田廣江
伊藤浩睦
遠藤真太郎
竹下和宏
小林英昭
南とんぼ
月城花風
長井知則
工藤泰子
田村米生
吉川正紀子
北熊紀生
小林英昭
渡部美香
花岡直樹
峰崎成規
和田のり子
小林英昭
山本 賜
壽命秀次
渡部美香
田村米生
白井道義
日根野聖子
森岡香代子
木村 浩
大林和代
小林英昭
加藤潤子
岡田廣江
上山美穂
高橋きのこ