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孑孑の字面の奇妙水たいら
かき氷おばちやんもつと盛り上げて
短夜や来し方行く末入り混じり
盆踊り輪に入り難く抜け難く
屁理屈のよく出る口から枇杷の種
板の間に足裏吸いつき夏来る
ねえみんなプールの帰り何食べる
頭痛してちよつと幸せかき氷
ファッションや女もすててこはく時代
天文の学者気分で外寝かな
ビーチバレー足の裏まで日焼止め
短冊に直訴のありぬ星まつり
枯れる夢ばかり見ている水中花
古書売つて今宵たつぷり新走
軍歌しか知らねえと立つ敬老会
犯行を誇示する鵙のテロリスト
うしろから鰻の話ついて来る
骨密度褒められてゐる敬老日
高鋏よろけて柿の空掴む
コロナ禍のトンネルに入り穴惑い
町人から武士に出世の秋刀魚かな
ピーマンと不仲の兄や唐辛子
簡単な話もつれる夜長かな
似て非なる余命と余生敬老日
魚板打てば皆ちりぢりに鰯雲
蕎麦通は通通通と音立つる
誰にでも心の中にある枯野
灯火親しめど眠気には勝てません
朽ちた杭にトンボがトンボ連れて来た
文化の日すいすい泳ぐスマホの指
行く年をスピード違反で逮捕せよ
街を踏むゴジラの心地霜柱
散りたがる咲きたがり屋の山茶花は
熱燗の冷める頃には泣き上戸
デパートに入口出口できて冬
自動ドア枯葉に先を越されけり
特別に磨かれて出る初日かな
淑気満つ手は合掌のスクワット
柚子風呂に囃されてゐる乳房かな
初鏡何してるのと問はれけり
霜降りの大根霜降りの肉に勝つ
配達の女性は歳暮マリアかな
不経済学部も無事に卒業す
欠伸出て春のデートはジ・エンド
蜃気楼見かけ以上の安普請
風花は冥土の文の書き損じ
振り出しに戻る話や初電話
おお寒とこ寒の後の余寒かな
葱坊主空支へんと直立す
ロダンの像背伸びしたくてあたたかし
あくびの猫ののどの奥まで春深し
雪掻きや大地の背中に届きたり
こんにやくの総身につぼ針供養
太陽を掴み損ねし辛夷かな
重力の束が丸見え藤の花
専制のリーダーをらぬ蝌蚪の国
ポリバケツ蹴っ飛ばしたる春一番
意地を見せ腸見せぬ焼栄螺
しゃぼん玉かがくの色を輝かす
春昼や検温銃が通せんぼ
迷ひなき万緑を見よロダン像
壺焼きの蓋を死守する馬鹿力
バーコード外し退院山笑ふ
いななきはファンファーレなり春の駒
風止めばはらぺこになり鯉幟
踏みつぶす白いビル群霜柱
浴衣きた人類あまた浅草寺
人間に賞味期限や冷奴
蛍の夜つなぎ損ねし左の手
欲しいのは地球にかざす日傘です
透明な線を描いて燕とぶ
新聞を読むのが仕事梅雨に入る |
百千草
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