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第七回滑稽俳句協会報年間賞決定!
 
愛媛県 桑田愛子
六月の花嫁真似事のキスをして
 受賞の感想
 年間大賞に選んでいただき、大変ありがたく、光栄に思っております。  ひとえに、滑稽俳句協会の皆さん、八木先生、堀端句会の皆さん、関わって下さった全ての方々のお陰だと思っています。  拙句は結婚の喜びを謳った句で、この句のお陰で、年間大賞という大きな光に包まれた場に立つことができました。
 これまで、輝かしい場面だけでなく、私の人生の辛い時も、悲しい時も、常に俳句が側にありました。
 何事にも光があれば影もあります。 健やかなる時、病める時、これからも、どんなときも俳句と共に歩んでいけたら、と思います。  本当にありがとうございました。
 
 
岡山県 工藤泰子
蓮根掘る電車のやうな連結部
 受賞の感想
 この句は友人の蓮根畑での体験に基づいています。曲がりくねった蓮根の一節一節は、まるで車両の様に繋がって、空気も通っています。泥の中で汚れず成長する仕組みは驚きです。「蓮根」と「連結」、RとKの音にも拘りました。
 滑稽俳句大賞も、ハイクアート賞も第一回目から応募していますが、滑ったり転んだりしてきました。この度、協会報の年間賞の「地」に選ばれたとのこと! 感謝感激です。地下を進んでいた蓮根列車に、すこし光が見えてきました。
 私は、茨木和生先生の『運河』で、「継続は力!」「季語の現場に立つ!」を学んでいますが、俳句実作における「笑いのポイント」をまとめてみました。それは、「カキクケコ」です。「諧謔」「機知」「工夫」「慧眼」「滑稽」。「ケ」は「経験」「計算」「炯眼」もありですが、「慧眼」にしました。
 今後、ますます滑稽俳句の本質に迫り、地下から脱出したいです。
 
 
群馬県 壽命秀次
若者のやばいやばいと食うおでん
 受賞の感想
 後期高齢者にあと一歩と近づき、夏バテ気味で腰痛もあり、今一つの体調と感じていました。そんな時に、滑稽俳句協会報年間賞「人」に選出いただき、大変嬉しく感激しております。
 TBSラジオの「毅郎スタンバイ」が募集した裕次郎雨≠季語とした俳句に応募して入選。句の載った『俳壇』を贈呈されて購読を始め、「微苦笑俳壇」を知って投句していました。滑稽俳句協会発足に伴って入会し、会報にも投句を始めました。駄句迷句を毎月送り、いつの間にか十四年経ちました。誇れる賞もなく、忘れた頃に選句される程度です。
 この句は、昨年末に男孫達と居酒屋に立ち寄った際の店の喧騒などを参考に詠んだ一句です。
 今後も焦らず腐らず、独り遊びと認知症予防にと、コツコツ精進して参りますので宜しくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
 
 
選 評    滑稽俳句協会会長 八木健
「天」…教会の結婚式で新郎新婦がキス。牧師が見守り、近親者や友人が拍手で祝う。キスは型通りである。居合わせた人達も真似事であることを承知している。私たちの暮らしの中には暗黙の了解という不思議が横溢する。滑稽だが、微笑ましく爽やかな風景。

「地」…蓮根のくびれを電車の連結部と見立てた。滑稽句に必要なのは童心である。俳句では「ような」を使うなと指導されるが、ピタリあてはまる表現であればかまわない。誰も気が付かなかった「ような」なれば、納得できるのである。

「人」…「やばい」とは「矢場い」で、江戸時代の矢場(射的場)で役人に見つかると危ないことを言ったのが語源とか。最近では、「美味しい」「上手い」など褒め言葉としても日常的に使われる。俳句に現代の若者を描いて後世に残る一句となった。
 

 

 

平成三十年八月号〜令和元年七月号特選句
   
マネキンの胸恥づかしく夏来る
天と地とサンドイッチの炎天下
甚平着て賞杯も無しワンカップ
一日の仕舞のページ夕端居
大奥に不穏なにほひ冷蔵庫
父の日やライン見たかと電話来る
とろろ汁口がすべつてしまひけり
暑いねとペットボトルに独り言
八月や御霊にゆつくりして行けと
常ならむ雨意の奥山秋出水
お日様の恩恵忘れる暑さかな
電機代少しく惜しみ熱中症
手づかみで買はれてこその秋刀魚かな
ワガタのチクチクとして心地いい
パトカーに付き纏われる厄日かな
駅を出で西日のあいさつお呼びでない
高値の数字ちらと見るだけ初秋刀魚
夕焼道我が影あしながおじさんに
満月を舐め終えたらし屋根の猫
群れ蜻蛉群れては何も残るまい
尺蠖に我が身の丈を測られる
夏痩やドリンク剤を一気飲み
表面に栗を盛り付け栗ご飯
名月を欲しがることのしかりかな
蓮根掘る電車のやうな連結部
古妻のマグマにビビりうそ寒し
この秋思ひどい上げ底ではないか
秋晴や婆のプライド杖畳む
本宅か否妾宅か穴惑
秋雨の貼り付いているふくらはぎ
大夕焼け地球の裏側覗きにゆく
ニセモノの前歯こはごは林檎食ふ
美しいけれどもしやの毒茸
冬ざるるもの言う機械に囲まれて
特製の蓄音機のごと蚯蚓鳴く
さまざまなことは幻(まぼろし)色葉散る
宇宙より天国近し初湯浴び
若者のやばいやばいと食うおでん
高望む初天神の絵馬に誤字
安堵にも疲れのまじる大晦日
へそくりの見つからぬまま掃納
新鮮を競う初日とビアの泡
回つてる時が幸せ独楽だもの
豆を撒く妻に本気の眼あり
何がめでたい九割廃棄の恵方巻
あちこちに霊の漂ふ毛皮店
お雑煮の餅に入れ歯がついて来る
足踏みを加え春待つ万歩計
籠城にのみ勝算の花粉症
冬の月触れればきつと冷たかろ
公園の制空権をシャボン玉
営巣のあいさつの糞初つばめ
耳たぶを擽りたがる春の風
句作りの人生七分梅三分
身につきし我慢宝に卒業す
花好きに取り巻かれたる標本木
春泥や何するんでぃべらぼうめ
お揃いで真面目に咲いてチューリップ
春の鬱まともなる句を駄句といふ
踏青や手にドローンの操縦桿
タンポポの綿毛孤独の旅に出る
花粉症予防に長き付けまつ毛
短距離は誰にも負けぬごきかぶり
蛇穴を出て凝った腰肩伸ばしけり
重力に負ける乳房藤の房
更衣ストリッパーは靴を脱ぐ
六月の花嫁真似事のキスをして
猫八にまだ及ばぬか老鶯
五月病道理でいい句ばかり出来
保育所の小悪魔たちの昼寝時
平成と書いて修正心太
リリと鳴るはずの鈴蘭鳴らぬまま
本門明男
青木輝子
田敏男
梅岡菊子
小林英昭
柳 紅生
下嶋四万歩
井野ひろみ
百千草
伊藤浩睦
花岡直樹
久松久子
吉原瑞雲
山下正純
下嶋四万歩
土屋泰山
堀川明子
本門明男
森岡香代子
井口夏子
相原共良
山本 賜
堀川明子
山下正純
工藤泰子
青木輝子
小林英昭
井野ひろみ
小川飩太
鈴鹿洋子
鈴木和枝
堀川明子
吉川正紀子
百千草
久我正明
井口夏子
柳 紅生
壽命秀次
八塚一
井口夏子
久松久子
花岡直樹
八塚一
小川飩太
田中早苗
井口夏子
吉川正紀子
南とんぼ
堀川明子
吉川正紀子
柳 紅生
荒井良明
稲葉純子
赤瀬川至安
横山喜三郎
門田智子
土屋泰山
山本 賜
村山好昭
工藤泰子
上山美穂
田村米生
下嶋四万歩
小川飩太
吉川正紀子
西をさむ
桑田愛子
月城花風
小川飩太
鈴鹿洋子
吉原瑞雲
高橋きのこ