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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2022年5号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


 耕せば少し膨らむ地球かな /竹村清繁


  滑稽句は読者にふふふを感じさせにゃならん。
  田畑を掘り起こして土に空気を入れると土壌の表面が
  ふんわり膨らむ。それを「地球が膨らむ」とは大袈裟で
  面白い。実に見事な「ふふふ」じゃわい。






 一音階上げて卒業生起立 /柳 紅生


  俳句は作者が感じたことを読者に共感してもらえると
  いいね。しかも、よく知っているのにまだ誰も俳句にして
  いない内容だと嬉しさも倍増する。
  この句はまさにそのお手本。
  「一同起立」との違いを言い得て妙。






 社会的間合いを習い卒業す / 村越 縁


  この数年、コロナウイルスの感染予防のため
  「ソーシャルディスタンス」なる英語がしきりに使われた。
  他者と身体的な距離をとることはもちろん、
  気持ちの上での間合いの取り方もしっかり学んでもらいたいね。






 ●秀逸

青草に打球を探す敵味方

次が来て木枯海へ押し出され

初音とてさびのところがいまひとつ

澄むまでのじゃじゃ馬馴らし春の水

雪積り地球の少し重くなり

世渡りの上手と下手のおでん酒

冬籠止まるソーラー腕時計

熊穴を出で騒がしき農林課    

阪根瞳水

森 一平

小林英昭

西田唯士

馬場菊子

石川 昇

中村眞喜男

和城弘志         


 ●佳作

交番にアクリル板や冴返る

踏青の積りが腰に万歩計

コロナの世誰にも言へず春の風邪

蛇出て人目につかぬ場所探す

二月尽こたびも疫を置き去りに

啓蟄や車庫を飛び出すオープンカー

春泥に足をとられて病む日本

義理にこそ意義ありバレンタインチョコ

挨拶は議員の代理節分会

立つ鳥跡を濁すは鷽らしく      

白井道義

森 泰博

平野暢行

志村宗明

板坂壽一

髙田敏男

村松道夫

金子未完

石川 昇

椋本望生     


【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

薄氷を踏む思ひして薄氷踏む
ウイルスの世に北窓の半開き
針供養針が豆腐に拍子抜け
しらうおの悶死を踊り食ひなどと
おぼろげに描いて名作蜃気楼       

簡便な宇宙遊泳ぶらんこで
軒下に中古物件燕の巣
飼ひ主に断りもなく恋猫に
食卓に季節の小鉢花菜漬
吹き方で威張つて見せる春一番       

大自然磨かなくても風光る
椎茸を呼び捨てにせず春子さん
被り方ひとくふうせむ春帽子
睨まれてゐる待春の寒暖計
卒業証書丸めて覗く近未来