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 本阿弥書店月刊誌 
「俳壇」 
より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2025年8号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。
◆滑稽俳壇は今号より二十一年目に入りました!

●特選


 車買へ煽る今夏の星条旗 /菊池ひろこ

 買え買えと言われてもねえ。アメ車はバカでかくて日本の狭い道に乗り入れたら運転が大変。左ハンドルで扱いにくい。燃費も良くない。故障しても部品が手に入りにくい。ただ、人間、お付き合いというものがあるからねえ。困ったねえ。





 遂に戻った国技の時代大相撲 /天童光宏


 日本相撲協会が財団法人設立百周年となる今年、日本人の横綱がなんと八年ぶりに誕生した。とにかく国技なんだから、海外の力士に負けていたんでは情けない。相撲の精神までしっかり体現する尊敬される横綱になってもらいたいなあ。





 夏の怪嬉々と出荷の備蓄米 / あきのさくら


 去年から続くコメ不足騒動は、間違いなく後世に語り継がれる。米不足で無いというから備蓄米を安く売り出したら、隠していたらしい米が店頭にあっという間に並んだ。なんとも滑稽だが、俳句における滑稽とは違う品のないお笑いである。





 ●秀逸

ナショナルの昭和の風を扇風機
電気代殖やしテレビと夏籠り
生ビール泡の嵩上げトランプ氏
サングラス妻子の不評に日の目見ず
地には米空には青の足りぬ梅雨
時の日や三分待てぬカップ麺
アナログに生きてけふあり時計草
横顔を妻に褒められ溝浚へ

北川喜里恵
久松久子
柳 紅生
忽那耕三
小手川とし
奥野元喜
川口八重子
三木須磨夫


 ●佳作

一言に返す三言や五月鬱
楽しげに疲れいぢける紙風船
サングラスしても中味に変はりなし
フリチンで飛び込む子らはターザンに
バス待ちの列に割り込む春一番
水やればすぐに豪雨やみどりの日
紫蘭指し名を聞く人の多かりき
待ち伏せの戦法蜘蛛と蟻地獄
風車回るきっかけは風だのみ
カチカチの小豆アイスに差し歯折れ

白井道義
上田 守
水野高爾
早川たから
月城花風
阿部鯉昇
腰山正久
馬場菊子
髙田敏男
菱沼惣一郎


【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

過剰防衛筍の毛むくぢやら
レイコーとかつては呼ばれアイスコーヒー
駆け抜けて行つたぞあれは走り梅雨
青竹の齢は十八前後かと
季語のハンカチその色は多分白(しろ) 

足裏が下駄を喜ぶ梅雨湿り
コカコーラより麦茶を欲しい午後三時
スキップはやる気十分五月来るデパ地下の新茶の香り人寄せる
バラバラに個性を咲かせ薔薇の花

竹の皮脱ぐといふより脱ぎ捨てる
俳人や光る薫ると風を詠む
ガラス越し見えぬ葉月の小糠雨
知つてます青梅食べたら叱られる
麦笛はひしやげた音で勝負する