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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2017年3月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  面々のみなアナログ派日向ぼこ / 荒川清司


  スマホ、パソコンを使えないと
  生活に支障が出る時代になってしまった。
  敬老の日なんか要らないから
  老人に優しくして欲しいね。
  次の選挙に「アナログ党」を立ち上げようか。






  一球がわが月給や冴返る / 柳 紅生


  メジャーリーガーの年俸は数十億円。
  試合数、投球数で割ると一球がとんでもない数字になる。
  俳句は金にならんと腹を立てるべからず。
  そもそも滑稽俳句はプライスレス。
  金銭より価値があるんだから。






  象舎より鼻の出てゐる寒さかな / 竹村清繁


  本来は南の国で完熟バナナなんか食べて水浴びしている象にとって、
  とんでもない拉致監禁の日々。
  せめて鼻だけでも外の世界に遊ばせる。
  地球で一番のワルは人間だ。
  俳句をやっている者に必要な自覚。
  






 ●秀逸

  プーチンは寝技が得意年の暮   石川 昇

  息殺し袋綴開け文化の日     壽命秀次


  
売れぬまま中古車今日も日向ぼこ 村上小一郎

  
毛皮着て靴下脱げる足湯かな   阿部鯉昇

  
色白にあれどメタボの雪達磨   稲葉純子

  
とりあえずお試し品の初時雨   小林英昭

  
連絡をせぬと連絡冬籠      金澤 健

  
政情を論じてをれず雪を掻く   丸山祐司





 ●入選

  北窓を閉じ老松の一人ぼち    原田 曄

  
生き過ぎを詫びて今年も初笑   越前春生

  
怒り顔母に似てゐる福笑     古川勝行

  
まさかまさか雪が外貨を稼ぐとは 横山喜三郎

  
トランプで占う世界去年今年   高田敏男

  
紅葉見の帰り序に銭洗ふ     細川てつや

  
吊るされし鮟鱇の眼に睨まるる  伊藤玉枝

  
木の枝の手袋吾を手招きす   久松久子

  
鬼役の吾にここぞと妻の豆   柏原才子

  美辞麗句連ねすらすら初日記  白井道義






【筆まかせ】滑稽俳句協会会長 八木健 近詠

議論煮詰まらずおでん煮詰まるも   その中になにかあるごと懐手
根くらべしてゐる水洟とティッシュ   手土産はありませんよと空つ風
多分あいつだ差出人の無い賀状   ごまめにも負けぬ歯を持ち三が日
数の子をカリコリ少子化を論ず    闇の字に音だけはある春の夜
省エネで肩身の狭き春煖炉      春泥を跳べてももてず男の子