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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2020年6号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  悪化まで検査待てとや春の怪 /天童光宏


  新型コロナの感染者が一度にたくさん押し掛けては
   医療崩壊になりかねないと重症者優先を打ち出した。
  しかし、これでは手遅れになるんじゃないかと不安が増すばかり。
  もっと親切、丁寧な説明が欲しいね。






  医師急にやさしくなるは肌寒し / 柳 紅生


  酒もタバコも止めた方がいいけど、
  まあ、もうそんなに頑張らなくてもいいですよ。
  あれほど怖かった先生の態度が急変。
  患者は微妙を読み取るから逆に不安になる。
  お願いです。以前のように叱って下さい。 






  卒業す大学と呼ぶ遊園地 / 日向豊雄


  わが国の大学は入学するのは大変だが卒業は簡単で、
  学生生活を満喫できる。
  勿論例外もあるが大方は遊園地であると日向さんの指摘。
  遊園地の諸費用を捻出する親の気も知らずして、
  学費はすなわち遊興費である。






 ●秀逸

夜目遠目にマスクを加え傘の内

目借時現金給付てふ撒き餌

引く鴨のあとを追うより残る鴨

ジャリタレのヤベエスゲエや四月馬鹿

正論で回らぬこの世梅の花

仙花紙の艶書の紙魚は深く食ふ

柏餅どこを食べても同じこと

名は体を表さざりき犬ふぐり

忽那耕三

村越 縁

平井静江

西田唯士

石川 昇

宇井偉郎

柳村光寛

龍野ひろし


 ●入選

歯のなくて吹けぬ口笛山笑ふ

スマホの春愁メモリーが不足して

麦踏をしなくなりしに麦踏む句

白梅や絵馬掛けよりも心掛け

頭頂の眼鏡探してゐる遅日

美少女は男嫌ひよ罌粟の花

コロナとは何のことかと桜咲く

子も孫もどこかへ出かけチューリップ

受難節讃美をするに顎マスク

AIが認識するかマスク顔 

松村正之

稲葉純子

佐野萬里子

腰山正久

小林英昭

柏原才子

前 九疑

稲沢 進一

加藤 賢

忽那耕三


【筆まかせ】八木健(滑稽俳句協会会長)近詠

前向きな句になりやすい春一番
戻らなくていいのにこの時期の寒
今朝はまた春の炬燵とよりもどす
つめたくはないほどのこと水温む
目貼剥ぐ化粧用語ではなくて
 
スパイクに踏まれたかつた春の芝
*令和二年選抜高校野球 
待望論何かと思へば初つばめ
春禽と呼べば鶏高級に
ひとりに一個野遊びの茹で卵
良く肥えてゐるは太棹(ふとざお)三味線草
届きけり花見中止といふ花信
予報士がやたら脅かす春の雪
春うれひ漢字で書けば深刻に
どうしても屋根まで届かず石鹸玉
すばしこい人ご先祖は蜥蜴(とかげ)とも