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 本阿弥書店月刊誌 「俳壇」 より

本阿弥書店



滑稽俳壇  2017年2月号  八木健 選

四月号から「微苦笑俳壇」は、「滑稽俳壇」に名称が変わっています。

●特選


  直角に曲がる枯野の測量士 / 細川てつや


  何事も、素性、職業は隠しきれないもの。
  あっちこっちに水を撒きたがるのは消防士。
  聴診器を幹にあてて樹液の流れる
  音を聞くのはお医者さん。
  丸い場所も四角く掃くのが測量士。






  茶を淹れて茶柱の立つ神の留守 / 越前春生


  神の留守は何かと不安になるもの。
  神様が留守でも茶柱が立てば、ほっと安心。
  なんだ、神様なんぞいなくても
  大丈夫じゃんか。
  最近は、必ず茶柱の立つお茶もあるらしい。






  毛糸編む顔が怒つてをりにけり / 伊藤玉枝


  毛糸を編むのが上手な人は談笑しながら編めるのだが、
  不器用な人は真剣になる。
  だから怒っているように見える。
  この句の場合は、喧嘩して仲直りはしたんだけれど…、
  という場面かもね。
  






 ●秀逸

  女優の名付いて負けん気冬薔薇    金澤 健

  外套がにほふクラブかキャバレーか  小林英昭


  
大マスク言はぬも目元熱つぽく    柳 紅生

  
豊の秋ゆたかな胸に行きあへる    三好あきを

  
いぢめとは気づかぬ笑顔返り花    永井弘子

  
よく切れる部下に苛立つ年の暮    寺川銀次郎

  
畑に来て蚯蚓に勤労感謝の日     前 九疑

  
七五三舟を漕ぎだす長祝詞      田村米生





 ●入選

  正論でまた盛り上がる日向ぼこ    飛田正勝

  
文化の日発禁本を干してゐる     影山田歌思

  
古書店に眼鏡取り出し冬帽子     山本 賜

  
自動ドア落葉に先を越されけり    久松久子

  
頑なに口を割らざる海鼠かな     稲葉純子

  
マスク取り俄然饒舌集会所      加藤 賢

  
観音の死角死角に狐罠        柏原才子

  
性格に裏おもてあり石蕗の花     久我正明

  
銀行へマスク帽子は外す暮      壽命秀次






【筆まかせ】滑稽俳句協会会長 八木健 近詠

湯豆腐の熱すぎるのが美味い     単調な曲しか吹けず虎落笛
丸がよろしか角がよろしか粥柱    しくじつてゐる筆ペンの懸想文
風呂吹を愛して舌を焦がさるる    年玉の額に格差や兄おとと
悪筆がいちばん目立ち年賀状     誰から誰になのか勤労感謝の日
手返しや罪なき餅をひつぱたき    それぞれに初日の柄のポチ袋