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149回 俳句遊遊

139回 川柳天国


   
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第十七回滑稽俳句大賞 作品募集
 
 

第十二回滑稽俳句協会報年間大賞決定!
 
天 賞 田中やすあき(埼玉県)
「犬掻きの鼻先に来る夏の海」
地 賞 北熊紀生(東京都)
  「霜柱踏まねば損をするやうな」
人 賞 長井多可志(千葉県)
  「落葉にもA面B面ありにけり」

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今月の特選句

口開ける金魚欠伸にちがひない

吉川正紀子

おいおい、大丈夫か。大口あけて酸欠かと心配したが、なんだ欠伸か。金魚にも退屈があるんだなあ。ときどき話しかけたりからかってやるか。

風鈴の百の共鳴百の揺れ

西野周次

それぞれの音色に特徴があるもので、競い合うときの騒擾はかなりなものだろうね。作者は音色だけでなく揺れ方にもそれぞれの個性を見た。

まつすぐに日本の文化松の芯

工藤泰子

松の芯は如何なる場合でも直立する。その端正は日本の伝統美に通ずる。松の生命力は、日本人が称え愛してきためでたきものでもある。

崩れ落つために高きへ噴水は

井口夏子

噴水は少しでも高い所へと勢いよく噴出する。より高きを目指すのが噴水の重要課題だと思っていたが、崩れ落ちるためだったとは発見である。

器量とは魚にもあり捨て鯰

久松久子

魚にも美人不美人鯰にも、というところか。しかし、鯰も虎魚もあの顔だからいい。ほっそりすっきりした顔の魚だけになると魚図鑑もつまらん。

白南風に乗りうどん屋のんの字は

桑田愛子

梅雨明けの軽やかな風に旗が揺れている。よく見ると「う」や「ど」よりも「ん」の字が一番風になびいている。文字からのインスピレーションだね。


 今月の秀逸句  七七をつけてみました

 
  言ひだせば引かぬ漢(おとこ)が心太 渡部美香
    ・・・背なを押されてあつさり承諾
 
  父の日やいつまで子どもと子に聞かれ 池田亮二
    ・・・父の無邪気は子にも愛され
 
  大人とて大志ありけりビール干す 永井流運
    ・・・大志はあれどあるといふだけ
 
  枝豆さん出番ですよとビアの泡 花岡直樹
    ・・・泡があわてて豆を呼び出す
 
  国境のまだなきころの星月夜 東 麗子
    ・・・万年変はらぬ光の蒼さ
 
  生きてゐることしか出来ぬ酷暑かな 岡本やすし
    ・・・息することもやつとの暑さ
 
  家族ばらばら冷素麺の茹で加減 加藤潤子
    ・・・ばらばらなれどみんななかよし
 
  待ち惚け食はされ外すサングラス 白井道義
    ・・・よそゆき顔が素顔にもどる
 
  小さくてもじゃが芋宝探しのよう 鈴木和枝
    ・・・仕事がいつか遊びになって
 
  羅(うすもの)で風を味方に従える 八塚一靑
    ・・・風操つれば夏は意のまま
 
  喘ぎ声立て扇風機右左 土屋泰山
    ・・・暑さに首を振るのがやつと
 
  父の日はこんなものかと屋台酒 鈴鹿洋子
    ・・・いずれは分かる父の偉大さ
 
  藻の蔭の流れに鮎はじつとして 相原共良
    ・・・流されもせず流れもせずに


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