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2023年5月の滑稽句 |
*今月の特選句・秀逸句以外の佳句を青字で表示しています。
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花どきや昼から雨になる予報 |
相原共良 |
花万朶こおどりにはしゃぐ鳥 |
相原共良 |
万愚節うそと見抜けぬえそらごと |
相原共良 |
難解の講義にうとうと目借り時 |
青木輝子 |
雑魚だってオンリーワンだよ春の星 |
青木輝子 |
戦いに敗れし軍鶏は鍋にされ |
赤瀬川至安 |
教養に邪魔されてをり新社員 |
赤瀬川至安 |
野遊の途中運転席に寝る |
赤瀬川至安 |
仔猫と話す次男の声や昼下がり |
荒井 類 |
元カノの面影浅蜊口ひらく |
荒井 類 |
折りとらずカメラでとつている土筆 |
井口夏子 |
親子三代お彼岸の墓参り |
井口夏子 |
スカート忘れステテコももひき春ファッション |
池田亮二 |
お嬢さまも相撲通とて大あぐら |
池田亮二 |
花のなき菜の花ロード機を逸す |
石塚柚彩 |
みかん狩出口に迷ふ山となり |
石塚柚彩 |
姦しき女三人春の旅 |
石塚柚彩 |
野焼され尻に火が付く地蔵かな |
伊藤浩睦 |
長閑なり扉も閉めぬごみ屋敷 |
伊藤浩睦 |
初花に興奮できる人の暇 |
伊藤浩睦 |
親と子のとぎれる会話土筆摘む |
稲沢進一 |
あいさつはいつもおはよう桃の花 |
稲沢進一 |
犬小屋に犬は熟睡猫さかる |
稲沢進一 |
北窓を開く眠気顔して本の山 |
稲葉純子 |
強風に想定外や飛花落花 |
稲葉純子 |
卒園式弾ける顔に涙顔 |
稲葉純子 |
受験生ノートとスマホ膝に乗せ |
井野ひろみ |
早々と散る花寂し地蔵様 |
井野ひろみ |
出店には掘り出し物や花は葉に |
上山美穂 |
モーツァルトのドソミソ♪春雨のふりやうは |
上山美穂 |
無人駅お花見してゐる小鳥たち |
上山美穂 |
バスの旅野焼の煙横に見て |
梅野光子 |
たんぽぽの綿毛ふうわり風に乗る |
梅野光子 |
短夜は立ち入り禁止捜査二課 |
遠藤真太郎 |
蝉生る未来ヴィジョン研究所 |
遠藤真太郎 |
魚醤油を再生させる心太 |
遠藤真太郎 |
花筏の無免許運転逮捕無し |
大林和代 |
いちばんきれいななめよこにみるさくら |
大林和代 |
しだれざくら竹刀のごとく力あり |
大林和代 |
春の海ダルマ夕陽を輝かす |
小笠原満喜恵 |
どじょうすくいの名人登場花見酒 |
小笠原満喜恵 |
今年また咲いてくれたよ胡蝶蘭 |
小笠原満喜恵 |
再会のエスプレッソは花のした |
岡田廣江 |
ふたつ光らせベランダのレモンの木 |
岡田廣江 |
我が膝にチワワ乗りくる春の昼 |
岡田廣江 |
武具飾る家を陣取る五人の子 |
加藤潤子 |
もてなす側に母の日の母なのに |
加藤潤子 |
語り部の伝え伝えて乳母桜 |
門屋 定 |
指さして彼方に見える八重桜 |
門屋 定 |
坂の上筍伸びて萬翠荘 |
門屋 定 |
蒲公英や老いて空飛ぶ珠となり |
北熊紀生 |
九九に泣く八十八夜の意気地なし |
北熊紀生 |
花見膳まずは乾杯シメに花 |
木村 浩 |
日本に草の芽出ずる春が来た |
金城正則 |
春ピクニックいいねしまなみ海道の |
金城正則 |
WBCよりも春の選抜高校野球 |
金城正則 |
予想外の結末エイプリルフール |
久我正明 |
錯乱の桜吹雪となりにけり |
久我正明 |
空腹にミルクキャラメル木の芽風 |
久我正明 |
タンポポのポンと真中のストライク |
工藤泰子 |
風光るオオタニさんとハイタッチ |
工藤泰子 |
茎立ちて空へと渦の逆巻けり |
工藤泰子 |
花曇ファンデーションの乗りきらず |
桑田愛子 |
骨壺を持つ制服に飛花落花 |
桑田愛子 |
波に濡れ春雨に濡れ浜の砂 |
桑田愛子 |
合格の大書に笑顔はちきれむ |
壽命秀次 |
子らを待つ過疎の鞦韆爺がのり |
壽命秀次 |
太陽を丸呑みにして野火走る |
白井道義 |
本命は補欠合格冴返る |
白井道義 |
大いなる空を切り取り卒業す |
白井道義 |
菜の花や海に張り出す予讃線 |
鈴鹿洋子 |
御供えのお下がり貰う花祭 |
鈴鹿洋子 |
曖昧な記憶繕う朧月 |
鈴鹿洋子 |
見て見ぬ振り上手な鳩に拍手 |
鈴木和枝 |
指折ってる人折らない人日向ぼこ |
鈴木和枝 |
募金箱が段ボール心の音サクラの音 |
鈴木和枝 |
見通しの立たぬ人生梅は咲く |
髙須賀渓山 |
この雛の趣歴史を重ねしや |
髙須賀渓山 |
植ゑし球根何だつたつけ?爺の春 |
髙須賀渓山 |
花衣人形の私は同じ服 |
髙田敏男 |
動物園の猿も肩ぐるま子どもの日 |
髙田敏男 |
花吹雪風の力を借りてこそ |
髙田敏男 |
歌女と言はれるからとみみず鳴く |
竹下和宏 |
涼しげな顔して乗せる口車 |
竹下和宏 |
米寿にも左団扇は夢のまま |
竹下和宏 |
啓蟄やクンダリーニの昇華せり |
田中 勇 |
蛇出づや己の毒を持て余し |
田中 勇 |
屈辱の怒りのごとく地虫出づ |
田中 勇 |
春昼のめくりめくるや紙芝居 |
田中やすあき |
老犬と散歩の果ての朝寝かな |
田中やすあき |
腰までの髪を散らせり春疾風 |
田中やすあき |
カエルらが口開けて見る風の色 |
谷本 宴 |
春めきてベランダ掃除始めよか |
谷本 宴 |
春休み話すは猫とアレクサと |
谷本 宴 |
鶯と競ふ鳴き真似鐘三つ |
田村米生 |
坂道の老いを押し上ぐ春一番 |
田村米生 |
告げるのは桜の散った公園で |
田村米生 |
春眠を貪る部屋の真ん中で |
月城花風 |
悪童も神妙に座す入学式 |
月城花風 |
青江三奈歌っています春の蝿 |
土屋泰山 |
青空に喇叭水仙ファンファーレ |
土屋泰山 |
息を呑む頭の上に鴉の巣 |
土屋泰山 |
良い季節やっと来たよねお水取 |
坪田節子 |
夕暮やホッと一息はなあかり |
坪田節子 |
オーロラに夢はせ春の宵のこと |
坪田節子 |
常節を楊枝でつつく伊豆の宿 |
長井知則 |
黄砂来る頭痛の種を蒔きながら |
長井知則 |
水のんで顔を上げたるチューリップ |
永易しのぶ |
春の風みるためこの目閉ぢてゐる |
永易しのぶ |
花満ちてしじま深まりゆくごとし |
名本敦子 |
残り鴨忘れた頃に鳴きはじむ |
名本敦子 |
天網を躱しかはしてつばくらめ |
西野周次 |
猫パンチ食らふ老犬春眠し |
西野周次 |
国宝のお堂も脇役乳母桜 |
花岡直樹 |
隣の竿気にしてメイクの緋鯉かな |
花岡直樹 |
五類などにされてたまるかビアの意地 |
花岡直樹 |
春の夢か漫画か野球世界一 |
浜田イツミ |
ホーと吸ひホケキョと吐くや草青む |
浜田イツミ |
アイブラックほどの眉欲し春の雨 |
浜田イツミ |
ちょぼちょぼと言われ高価な京扇子 |
久松久子 |
片頬を歪ませ笑ふ砕石山 |
久松久子 |
ハイウェイ春満月をふりきつて |
日根野聖子 |
朧かなふすま絵の龍あくびして |
日根野聖子 |
風光るマスクゴーグル花粉舞う |
細川岩男 |
流氷や観光客がどっと寄せ |
細川岩男 |
水温む懐温む世も温む |
細川岩男 |
すかんぽや八十路の吾も元子ども |
ほりもとちか |
黄水仙遊んでゐる子を見てゐる子 |
ほりもとちか |
女生徒の笑い転げて地虫出る |
南とんぼ |
たたら踏みやっと止まればつくしんぼ |
南とんぼ |
貼れるだけ貼って出かける春の旅 |
南とんぼ |
さうざうし蝌蚪は頭に尾と足が |
峰崎成規 |
巣籠や人の塒(ねぐら)も空中に |
峰崎成規 |
大川の鷗舵とる花筏 |
峰崎成規 |
にこにこ顔の「へへへへしこじ」芝を焼く |
椋本望生 |
目と口と顎と雪解の言い訳と |
椋本望生 |
「ぱっかのへ」と十回ゆうて雪丸げ |
椋本望生 |
春雷や夫婦げんかの納まりぬ |
村松道夫 |
咲き初める桜望むや赤信号 |
村松道夫 |
継ぐ人のなき家なれど桜咲く |
村松道夫 |
足裏にひんやり紫雲英の波歩く |
森岡香代子 |
囀のさらに早口屋根の鳥 |
森岡香代子 |
お花見のプラン立てたら散り始め |
八木 健 |
難しい世が待ち受ける入学児 |
八木 健 |
ヤンキーの変身見事や新社員 |
八木 健 |
木蓮やいいえ私はマグノリア |
八塚一靑 |
虫出しの雷に泣き虫騒ぎ出す |
八塚一靑 |
花筏スワンボートで追いかける |
八塚一靑 |
チューリップ八頭身のレビューなり |
柳 紅生 |
山の神鮎釣り亭主を裁きけり |
柳 紅生 |
偉いなあ早寝早起きチューリップ |
柳村光寛 |
実を結ぶ果樹ばかり見る苗木市 |
柳村光寛 |
高望みばかりするなよ春の猫 |
柳村光寛 |
ふる里の流るる川や花日和 |
山岡純子 |
残る鴨つがいのこゑが池に溶け |
山岡純子 |
まだ咲くわ吾遅咲きの八重桜 |
山岡純子 |
鳩の巣が母の新居や一周忌 |
山下正純 |
コロナ明け花見弁当解禁す |
山下正純 |
ひと時がひと時ならぬ春の昼 |
山下正純 |
春の夜の社長誕生物語 |
山本 賜 |
立てば底なりつつじの群生地 |
山本 賜 |
ブランコをベンチ代わりにスマホっ子 |
横山洋子 |
笑ふ膝いたわる杖や山笑ふ |
横山洋子 |
たわいなき事語り合う日向ぼこ |
横山洋子 |
この花は一輪咲けど二輪草 |
吉川正紀子 |
囀りにとりどりの色あるごとし |
吉川正紀子 |
降り立てば桜吹雪の無人駅 |
吉川正紀子 |
まほろばの小気味よきかな花吹雪 |
吉原瑞雲 |
ムツゴロウ程ではなけれどどぜう飼ふ |
吉原瑞雲 |
すかんぼを噛んでまぶしき疎開の子 |
吉原瑞雲 |
春眠や寝顔は平和のかたちして |
渡部美香 |
麻痺の子の宇宙遊泳ふらここ押す |
渡部美香 |
春耕や大地はその香解き放つ |
渡部美香 |
余寒なほ小銭チャリンと滑り落つ |
和田のり子 |
もしかして戦禍の涙春しぐれ |
和田のり子 |
炭酸の泡のジュワジュワ夏蜜柑 |
和田のり子 |
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