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2021年4月の滑稽句 |
*今月の特選句・秀逸句以外の佳句を青字で表示しています。
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猫が眼を回すが愉し独楽回す |
相原共良 |
蝋梅の匂ひ仄かに芥箱 |
相原共良 |
春なれや惟庵の跡の茶臼山 |
相原共良 |
杉の花笑い転げて花粉撒く |
青木輝子 |
コロナ禍の不要不急の猫の恋 |
青木輝子 |
嫁姑幅寄せ危険四月馬鹿 |
青木輝子 |
暖房のやりくり困る電気代 |
赤瀬川至安 |
マーキングのたちまち氷る午前五時 |
赤瀬川至安 |
春眠と知らずあなたの傍に居る |
赤瀬川至安 |
風光り段の正しき畑かな |
井口夏子 |
新築に泥の新居のつばくらめ |
井口夏子 |
思い思いの寝相で子らの春の夢 |
池田亮二 |
バレンタインデーオール五の子はチョコ一つ |
池田亮二 |
木の芽雨日がなババ抜きエンドレス |
石塚柚彩 |
散歩道家の形に春の霜 |
石塚柚彩 |
ガンダムになりきりし児の駆けし春 |
石塚柚彩 |
竹槍で突いて落とす凧(いかのぼり) |
伊藤浩睦 |
空母から公魚を釣る豪快さ |
伊藤浩睦 |
薄氷を踏みて白票入れに行く |
伊藤浩睦 |
マスクしてみんな無口に探梅行 |
稲沢進一 |
子ども泣く風船の旅始まりぬ |
稲沢進一 |
春の雪またあの歌を口ずさむ |
稲沢進一 |
麗かや猫も鼾を掻くもので |
稲葉純子 |
ワハハハのこゑは立てずに山笑ふ |
稲葉純子 |
数ふれば三寒四温違はずに |
井野ひろみ |
春寒しダウンのベスト着る子犬 |
井野ひろみ |
目力がちょっと怖いなアネモネの |
上山美穂 |
夢の中で頑張っている目借時 |
上山美穂 |
珈琲手に吟行気分風光る |
上山美穂 |
春一番音符にすればソラドドド |
遠藤真太郎 |
四月馬鹿ワクチン更に遅れそう |
遠藤真太郎 |
隼(はやぶさ)の眼で競うカーリング |
遠藤真太郎 |
河津桜この木が好きと鳥群れる |
大林和代 |
白梅に弾かれ空のにごりたる |
大林和代 |
うぬぼれもマスクに入れて春霞 |
大林和代 |
春風に波長を合はせ鳥の声 |
小笠原満喜恵 |
啓蟄を待たずにあいつ飛び出した |
小笠原満喜恵 |
松山の松の心は春を待つ |
金城正則 |
海近き下灘駅に枇杷を食む |
金城正則 |
矍鑠(かくしゃく)と未練たっぷり落椿 |
久我正明 |
未来見て未練たっぷり落椿 |
久我正明 |
「入るな」の札のあれども梅見かな |
久我正明 |
出国の空をこじ開け鳥帰る |
工藤泰子 |
残る鴨藩主の御庭許されて |
工藤泰子 |
残り鴨先憂後楽謳ふ庭 |
工藤泰子 |
春一番兎角とやかく言われても |
桑田愛子 |
春光る鮭の小骨が喉にかな |
桑田愛子 |
嘘に嘘重ねて眩し初桜 |
桑田愛子 |
土筆摘む記憶の底に友の顔 |
小泉和子 |
腐葉土に太る幼虫しゃぼん玉 |
小泉和子 |
竹の子や境界線など気にせずに |
小泉和子 |
恋猫の満身創痍朝帰り |
小林英昭 |
その初音免許皆伝ほど遠し |
小林英昭 |
安普請廊下の軋む蜃気楼 |
小林英昭 |
皸を癒してくれる春うらら |
佐野萬里子 |
東京が沖縄並みや暖気流 |
佐野萬里子 |
バレンタインチョコを頬張る二月かな |
佐野萬里子 |
大嚔脱兎のごとく離れたる |
壽命秀次 |
諍ひの種の名無しの賀状かな |
壽命秀次 |
また妻を誘惑に来た焼芋屋 |
壽命秀次 |
よそゆきの顔で祓はるる受験生 |
白井道義 |
のほほんとしている内に春一番 |
白井道義 |
一筋に一途一徹恋の猫 |
白井道義 |
おみくじを二人で覗く梅日和 |
鈴鹿洋子 |
斎庭に絵馬のひしめく道真忌 |
鈴鹿洋子 |
青空が好きだ白菜の薹立ち |
鈴木和枝 |
集って落葉人間について語る |
鈴木和枝 |
赤よりも白が好きです薮椿 |
高岡昌司 |
片栗の花せせらぎの音を聴く |
高岡昌司 |
トップバッター目立ちたがりの薮椿 |
高岡昌司 |
春場所やお返ししたき借りた胸 |
髙田敏男 |
昼酒を飲んで暴れて猟名残 |
髙田敏男 |
隣家の名ふと忘れたり春霞 |
高橋きのこ |
歩き過ぎといふアル中の増えし春 |
高橋きのこ |
につぽんに春風のごとサザエさん |
竹下和宏 |
万愚節嘘もお江戸も八百余 |
竹下和宏 |
耳鼻科歯科耳鼻科歯科歯科二月尽 |
龍田珠美 |
春立つやサリサリ削る白トリュフ |
龍田珠美 |
春に買うアップルパイとイヤリング |
龍田珠美 |
老人を生きてゐる今日春立ちぬ |
田中 勇 |
日向ぼこと日光浴の間春浅し |
田中 勇 |
くの一のようにも見えて紅梅は |
田中 勇 |
記憶無し四月馬鹿でもあるまいに |
田中早苗 |
海馬はやつるんつるんの心太 |
田中早苗 |
蛤やわての片割れどこにおる |
谷本 宴 |
春の道ミスチル聞いてどこまでも |
谷本 宴 |
クロッカスゆつくり眺めリラックス |
谷本 宴 |
九字を切り菜の花蝶に化しにけり |
田村米生 |
花冷えや鼻の機嫌が悪くなる |
田村米生 |
今治のタオル欲しげな濡れ燕 |
田村米生 |
部屋干しの横にイケメンの男雛 |
月城花風 |
春来る妖の世も現し世も |
月城花風 |
佐保姫も夜食に頼むデリバリー |
月城花風 |
鷽(うそ)鳴くや足を引っ張る人ばかり |
土屋泰山 |
グーだけだ磯巾着のじゃんけんは |
土屋泰山 |
伊予柑の街に堂々松山城 |
土屋泰山 |
八百の密も許され梅ふふむ |
飛田正勝 |
昔からペアで密です二人静 |
飛田正勝 |
コロナ禍も三十一段の密の雛 |
長井知則 |
背を合わせ喧嘩の後の日向ぼこ |
長井知則 |
ブラウスの袖折る指に春深む |
永易しのぶ |
学び舎の桜にときめき四十年 |
永易しのぶ |
春惜しむ迷子のスカーフ淡色の |
永易しのぶ |
街道をゆけば難波江菜の花忌 |
西をさむ |
ミャンマーにきっと釈迦牟尼多喜二の忌 |
西をさむ |
コロナ禍の合格祝いは振り込みで |
花岡直樹 |
啓蟄やビールの泡もうごめきぬ |
花岡直樹 |
お日様を独り占めして冬たんぽぽ |
久松久子 |
切り岸に何処へ行こうか草の絮 |
久松久子 |
浮寝鴨宿直の一羽首もたぐ |
久松久子 |
いふなれば早期退職落椿 |
日根野聖子 |
ブローチはどれにしませう春の服 |
日根野聖子 |
クロッカスこんな花よと描いてみせ |
日根野聖子 |
コロナ禍のロックダウンに春を待つ |
廣田弘子 |
幸福を念じて齧る恵方巻 |
廣田弘子 |
春嵐シャツは干されてイナバウアー |
廣田弘子 |
はいチーズマスクしてても目は笑う |
細川岩男 |
着ぶくれや通勤ラッシュを三密に |
細川岩男 |
派手派手の柄のマスクに目立つ顔 |
細川岩男 |
西行を起こさぬように春の山 |
南とんぼ |
ふっくらと煮ふくめてをり鬼の豆 |
南とんぼ |
憤まんなし注意力なし春の婆 |
南とんぼ |
どつぷりと春日載せたる布袋腹 |
峰崎成規 |
未来志向胡散臭くて亀鳴けり |
峰崎成規 |
一つ知り二つ忘れて目刺焼く |
椋本望生 |
毒気なき美女豪快に杉花粉 |
椋本望生 |
右左どちらと分からず春の闇 |
向田将央 |
踏まれたくないのとたんぽぽ自販機の下 |
向田将央 |
小筆とは認めてもらえぬつくしんぼ |
向田将央 |
初夢や父のおはこの虎造節 |
村松道夫 |
夫から妻に逆チョコバレンタイン |
村松道夫 |
建国の言葉失せたり建国日 |
村松道夫 |
泣き声の笑ひ声とも朧の夜 |
百千草 |
逃水やあれやそれやで会話果つ |
百千草 |
背の丈を子に追ひ越され鶯餅 |
百千草 |
剪定やあの芽この芽に目を取られ |
森岡香代子 |
光浴び金糸のごとく春埃 |
森岡香代子 |
あはあはとしてつれづれの雪の果 |
森岡香代子 |
スカートの丈のわずかに春めける |
八木 健 |
山笑ふなどとんでもないとコロナ通 |
八木 健 |
北窓を開けば思い切り世俗 |
八木 健 |
一国の城主自ら垣手入れ |
八塚一靑 |
蛤が碗に大きな顔でいる |
八塚一靑 |
番台の小町に未練卒業す |
柳 紅生 |
春の蠅逃すか家族会議せり |
柳 紅生 |
目覚めると外は一面春の雪 |
柳澤京子 |
春山に出かけた昔なつかしき |
柳澤京子 |
生きる力野山の芽吹きにもらひたる |
柳澤京子 |
苗木より値札まず見る植木市 |
柳村光寛 |
桜鯛釣ってくるぞと勇ましく |
柳村光寛 |
毎年よ花粉飛散の悲惨さは |
柳村光寛 |
ツイッターに花の溢れてミモザの日 |
山内 更 |
仔猫には迷路立体駐車場 |
山内 更 |
物種を蒔く賃貸の庭に蒔く |
山内 更 |
ウグイスの声で目覚める新居かな |
山岡純子 |
暖かくなる今日この頃や落椿 |
山岡純子 |
五つ葉のクローバみつけ幸を待つ |
山岡純子 |
枝垂梅しぶきの形に時を止め |
山下正純 |
菜の花の千畳敷きや風緩む |
山下正純 |
発つ風をとらえ大鷭(おおばん)御一行 |
山下正純 |
おはようの手に凍て返る朝の水 |
山田真佐子 |
クレーンは麒麟の首で春の屋根 |
山田真佐子 |
ようこそと陽光桜に迎えられ |
山田真佐子 |
きんぽうげ花壇はすっかり新しく |
山本 賜 |
消毒の小さなポンプ春の午後 |
山本 賜 |
草餅のせんい残るや舌の先 |
横山洋子 |
辛夷咲く園児らの靴カラフルに |
横山洋子 |
店じまひ燕も一緒に宿じまひ |
横山洋子 |
大雨のパンチパンジー崩したる |
吉川正紀子 |
流さるるひひなに手向け野辺の花 |
吉川正紀子 |
たんぽぽが駅長さんで無人駅 |
吉川正紀子 |
暖かや背伸びしている俺(おら)の影 |
吉原瑞雲 |
歓喜して野面頒(わ)けゆく雪解水 |
吉原瑞雲 |
紅梅や君のまつげのながきこと |
渡部美香 |
触診の指に香るや三宝柑 |
渡部美香 |
卒業の記念樹の名ぞ春一番 |
渡部美香 |
春一番男尊女卑を吹き飛ばせ |
和田のり子 |
里山はおちよぼ口して山笑ふ |
和田のり子 |
冬銀河ヒト百年を手の平に |
和田のり子 |
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