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2024年8月の滑稽句 |
*今月の特選句・秀逸句以外の佳句を青字で表示しています。
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妖精がせせらぎの音たて木下闇 |
相原共良 |
止水板なんなく越えて梅雨豪雨 |
相原共良 |
この先はどうあろうとも蛍の夜 |
青木輝子 |
マネーゲーム深みにはまり蟻地獄 |
青木輝子 |
鰻の日猛暑と炭火地獄かな |
青木輝子 |
腐草蛍となる何枚もレントゲン撮られ |
赤瀬川至安 |
よく歩きよく食べよく寝て青田風 |
赤瀬川至安 |
ぼけなすと言はれ怒らず更衣 |
赤瀬川至安 |
まつさらな闇に安堵か睡蓮は |
井口夏子 |
天国へ続く紫陽花ロード行く |
井口夏子 |
人生双六東大官僚漫才師 |
池田亮二 |
赤いのに何故に金魚と名乗るのか |
伊藤浩睦 |
猫が手を突っ込んでゐる金魚鉢 |
伊藤浩睦 |
酒になれ瓢に詰める滝の水 |
伊藤浩睦 |
一分の黙祷に無念の思ひ原爆忌 |
稲葉純子 |
散歩の犬も二の足を踏む炎暑かな |
稲葉純子 |
ふる里の庭向日葵達が談合か |
稲葉純子 |
紫陽花やドジャーブルーに近づきて |
井野ひろみ |
涼しさやホテルのフロントキャッシュレス |
井野ひろみ |
万緑の一本道の先は空 |
井野ひろみ |
この窓は私専用梅雨のバス |
上山美穂 |
梅雨空におまかせ自家菜園の水やりは |
上山美穂 |
プラネタリウムの夜空を吟行梅雨最中 |
上山美穂 |
行く雲はくじらの形ハンモック |
卯之町空 |
居酒屋の奥全力の扇風機 |
卯之町空 |
うちぬき水底から西瓜もち上げる |
卯之町空 |
七夕の短冊重し昭和かな |
梅野光子 |
枝豆とビールはセット夕端居 |
梅野光子 |
まだ七月なのにせつかち赤とんぼ |
梅野光子 |
北京から所用のメール秋暑し |
遠藤真太郎 |
秋雨の濡れ札吐き出す精算機 |
遠藤真太郎 |
見た目よりアヴァンギャルドな放屁虫 |
遠藤真太郎 |
店頭のさくらんばうや後光差す |
太田和子 |
草木の太り狭まる梅雨の庭 |
太田和子 |
畦道を波打ち際に青田風 |
太田和子 |
昼顔や余白の寂しい掲示板 |
大林和代 |
じょじょにじょじょに畑が消えゆく雲の峰 |
大林和代 |
どこもそこも外国人や炎天下 |
大林和代 |
相棒の傘と出かける梅雨の朝 |
小笠原満喜恵 |
プチッと嚙めば幸せ広がるさくらんぼ |
小笠原満喜恵 |
カラコロの下駄を履きたい梅雨の街 |
小笠原満喜恵 |
猫好きの友から届くトマトかな |
岡本やすし |
幸せの満ちたるトマトかじりけり |
岡本やすし |
熱心に熱中症ニュース読むテレビ局 |
沖枇杷夫 |
山陽本線埴生駅出れば植田なる |
沖枇杷夫 |
寝る前に気づく慰霊の日だったと |
沖枇杷夫 |
コツコツは電灯下の黄金虫 |
加藤潤子 |
蚯蚓出てすかさず浴びる猫パンチ |
加藤潤子 |
梅雨に入り草木の静か猫も来ず |
門屋 定 |
七月や誕生も傘寿も新札も |
門屋 定 |
桑摘んで新茶の仕上げは天日干し |
門屋 定 |
猿田彦花水祝の鼻長し |
北熊紀生 |
麦の秋ガバリとソースかけにけり |
北熊紀生 |
冷房を恐れて上着手放さず |
木村 浩 |
冷房の吹き出し口を遠望す |
木村 浩 |
モネの名を誇る睡蓮人集む |
工藤泰子 |
抑止力要石なる梅雨鯰 |
工藤泰子 |
出ついでに雨に草抜く半夏生 |
くるまや松五郎 |
水無月の朔や宵空真青なる |
くるまや松五郎 |
初蝉や週末はまた雨といへど |
くるまや松五郎 |
ひき蛙ひかれ蛙になるまいぞ |
黒田恵美子 |
螢おらず空き家ばかりのほたる草 |
黒田恵美子 |
梅雨に入る遊ぶ子どもの声ひそと |
黒田恵美子 |
雪平鍋の凸凹洗っても洗っても溽暑 |
桑田愛子 |
水澄むやペットボトルの中もまた |
桑田愛子 |
苺食む動きとまらぬ子のほつぺ |
小泉和子 |
二度見する隣の主婦のサングラス |
小泉和子 |
増しくるは痒み藪蚊を打ちそこね |
小泉和子 |
生身魂サインコサインお手のもの |
敷島鐵嶺 |
飛びます飛びます汗だくコント55号 |
敷島鐵嶺 |
採石場日焼け笑顔の賄ひ婦 |
敷島鐵嶺 |
長梅雨や欠伸を殺すお店番 |
壽命秀次 |
スマホ消し妻子のためのホタル狩 |
壽命秀次 |
牧場ショー寄って集って羊刈る |
壽命秀次 |
それとなく嘘も方便水中花 |
白井道義 |
蟻地獄崩し腕白天下取り |
白井道義 |
炎昼やお釣受け取り品忘れ |
鈴鹿洋子 |
装束は白一色の山開き |
鈴鹿洋子 |
ぶらり来てぶらり去る紋白蝶 |
鈴木和枝 |
アスファルトでは書けない道案内 |
鈴木和枝 |
飛行機雲に切り裂かれゆく鰯雲 |
髙須賀渓山 |
横線の太ぶと三輪田米山の書 |
髙須賀渓山 |
岩肌に現る夏至観音に手を合はす |
髙須賀渓山 |
一泊の羽合温泉アロハかな |
髙田敏男 |
植木屋の思案たばこや土瓶割(尺蠖虫) |
髙田敏男 |
納涼映画主役女優も蛾にくわれ |
髙田敏男 |
ありがたきことよ十薬増えゆくは |
田中 勇 |
黙々とみつ豆食ぶるをとこかな |
田中 勇 |
里山の一面に咲き栗の花 |
田中 勇 |
新紙幣の顔になじめず夏季手当 |
田中やすあき |
汁なしのタンタン麵に玉の汗 |
田中やすあき |
税務署に怒りの角をかたつむり |
田中やすあき |
木漏れ日のスポットライト青蜥蜴 |
谷本 宴 |
浅草の鬼灯市や人湧きぬ |
谷本 宴 |
不思議にもはちみつの香の胸の汗 |
谷本 宴 |
神池も陰日向あり水澄 |
月城花風 |
水鉄砲構へは童動きは古稀 |
月城花風 |
親も子も中弛み中夏休み |
月城花風 |
本当はげげと鳴いてる仏法僧 |
土屋泰山 |
どくだみを刈れば臭いの反撃に |
土屋泰山 |
蕉風の蚤や虱のあらたふと |
百目鬼強 |
労りて蚤取り合へる猫の朋 |
百目鬼強 |
景清もしどろもどろや蚤搔きて |
百目鬼強 |
槍も出るでんでんむしの腹時計 |
長井多可志 |
東京の大き片陰ケンケンパ |
長井多可志 |
短夜や滅びの章へ人類史 |
長井多可志 |
点滴の義母目細める梅雨晴れ間 |
長井知則 |
ひ孫泣く義母の葬儀の梅雨寒し |
長井知則 |
初七日の祭壇に射す梅雨薄日 |
長井知則 |
宿題は一族総出夏座敷 |
永井流運 |
流されて生きていないか水馬 |
永井流運 |
畳目の頬にくつきり昼寝の子 |
西野周次 |
飛行機雲伸びて夏空まつぷたつ |
西野周次 |
天道虫小さな背なに小宇宙 |
花岡直樹 |
端居して再会待ちわぶ人力車 |
花岡直樹 |
花合歓や「ブギウギ」に見るつけまつ毛 |
浜田イツミ |
オクラ咲くミス野菜の花なり |
浜田イツミ |
守宮なりボルダリングを六秒で |
浜田イツミ |
へうたんの垂れてをかしき他人の家 |
東 麗子 |
参道に昨夜の施餓鬼の熱のこる |
東 麗子 |
電気代心配しない冷房館 |
久松久子 |
青鷺に睨まれスマホ仕舞ひけり |
久松久子 |
おそらくは天の漏電日雷 |
日根野聖子 |
まつすぐに生きまつすぐに落ちる汗 |
日根野聖子 |
ご飯ですよの声待ち遠し夕端居 |
日根野聖子 |
扇風機空しく風を掻き回し |
細川岩男 |
喉越しを我冷酒なり冷酒なり |
細川岩男 |
オンザロック甘藷焼酎がカランコロン |
細川岩男 |
雨に訪ふ有馬念仏寺の沙羅 |
ほりもとちか |
夕べには片す落花や夏椿 |
ほりもとちか |
梅雨晴や寺継ぐ孫の晋山式 |
ほりもとちか |
梅雨の月まるくふやけて昇りけり |
南とんぼ |
自爆近し膨らみきって鳳仙花 |
南とんぼ |
止せ止せと言うに余生のサーフィン |
南とんぼ |
芯のない男がつつくかき氷 |
峰崎成規 |
今日のどぢ見透かすやうな金魚の眼 |
峰崎成規 |
ひとつ窓見飽く独房蟻地獄 |
峰崎成規 |
下校する坊主頭よ梅雨明ける |
明神正道 |
夏草の勢いもまた景色なり |
明神正道 |
昔人日盛り避けて万歩計 |
明神正道 |
ばか捩子のコブラツイスト扇風機 |
椋本望生 |
歯が抜けて鳴らぬ草笛ソファミレド |
椋本望生 |
キャンセルの訳は白靴無いだけよ |
椋本望生 |
広島忌釦を一つかけ違ふ |
村松道夫 |
種袋振りて未来の命継ぐ |
村松道夫 |
梅雨出水こころもとなき治水かな |
村松道夫 |
プールの日ドボンドボンの水の声 |
森岡香代子 |
夏の服見られているわ分かつてる |
森岡香代子 |
侮ればこの蟻吾を本気噛み |
森岡香代子 |
草刈が正雄の趣味で芸名に |
八木 健 |
似て非なるもの短夜と明易は |
八木 健 |
握る手に汗なのに手に汗握るとは |
八木 健 |
天井の蛾に罪はない山の宿 |
八塚一靑 |
うな重と一年ぶりに再会す |
八塚一靑 |
血縁の証拠の判を押す藪蚊 |
柳 紅生 |
矢絣の十六頭身女滝立つ |
柳 紅生 |
コンニャクよお化け屋敷の幽霊は |
柳 紅生 |
天地無用箱入り桃の御触書 |
柳村光寛 |
人間のわがまま百合を八重咲きに |
柳村光寛 |
朝顔に心ごころや左巻き |
柳村光寛 |
額の花小花の周りに小蝶舞い |
山下正純 |
紫陽花のここに雨をと色づきぬ |
山下正純 |
梅雨明けて来たるは灼熱地獄かな |
山下正純 |
ファミレスのロボも酷暑に大わらわ |
横山洋子 |
好物のビール供えし盆供養 |
横山洋子 |
あぜ道の七夕飾り傾けり |
横山洋子 |
梅雨の空降らせることに飽きもせず |
吉川正紀子 |
いづこよりいでしか忍者の田蛙は |
吉川正紀子 |
安住の水面狭まり夏の鴨 |
渡部美香 |
白南風や膵臓微睡む診察台 |
渡部美香 |
はじき豆ポンと飛び出す莢布団 |
和田のり子 |
祝杯の鮎の塩焼き齧り付く |
和田のり子 |
虎が雨カンパネラ弾くフジコ逝く |
和田のり子 |
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