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春一番二番三番反抗期 来し方は△ばかり温かし やることのなくて金魚を太らせる 天瓜粉追ひかけ逃ぐる蒙古斑 埼玉に熊谷のある暑さかな ままごとのママは泣き虫赤のまま 檸檬切りカリフォルニアの水絞る 外出する妻の化粧の小春かな はくしよんの国籍不明冬の闇 俗名のままに今年も明けにけり
犬猿の仲が御慶を交しをり 舌抜かることを重ねて初閻魔 豆腐にも供養の欲しき針供養 鞦韆や愛奪ふにも片思ひ 下穿きを付けずマネキン更衣 しつぽなどくれてやるさと青蜥蜴 アディショナルタイムに入りし敬老日 湯ざめして茹で直したる五体かな することの無き顔揃へ日向ぼこ 団欒の卓に加はる冬の蠅
「木漏日になつて小分けをする冬日」
「噴水に合はす屈伸ストレッチ」
「扇風機新しければその風も」
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駅員の白き手袋夏燕
桑田愛子
歯の抜けたやうな町並み梅雨に入る
鈴鹿洋子
ストライクボールの声も汗をかき
遠藤真太郎
たたかれて熟してゐると言ふ西瓜
森岡香代子
客が入れ替わり立ち替わりして叩いていく。音で熟れ具合を知ろうとするのだが西瓜にしてみればたまったもんじゃない。もう大概にしてくれい。
どの子にも愛を等しく軒つばめ
柳 紅生
「どの子にも愛を等しく」で人間のことかと思わせておいてタネ明かし。親鳥の立場になりきったから詠めた。「愛を等しく」の理屈っぽさもいいね。
空を掻く今際の時の蝉の脚
渡部美香
落ち蝉が仰向けになり、脚を胸に集めるようにして何かを掴もうとしている。地上に出てからは短い命だが、最期の瞬間まで生きていようとする。