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春一番二番三番反抗期 来し方は△ばかり温かし やることのなくて金魚を太らせる 天瓜粉追ひかけ逃ぐる蒙古斑 埼玉に熊谷のある暑さかな ままごとのママは泣き虫赤のまま 檸檬切りカリフォルニアの水絞る 外出する妻の化粧の小春かな はくしよんの国籍不明冬の闇 俗名のままに今年も明けにけり
犬猿の仲が御慶を交しをり 舌抜かることを重ねて初閻魔 豆腐にも供養の欲しき針供養 鞦韆や愛奪ふにも片思ひ 下穿きを付けずマネキン更衣 しつぽなどくれてやるさと青蜥蜴 アディショナルタイムに入りし敬老日 湯ざめして茹で直したる五体かな することの無き顔揃へ日向ぼこ 団欒の卓に加はる冬の蠅
「木漏日になつて小分けをする冬日」
「噴水に合はす屈伸ストレッチ」
「扇風機新しければその風も」
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重力の束が丸見え藤の花
花岡直樹
専制のリーダーをらぬ蝌蚪の国
峰崎成規
ポリバケツ蹴っ飛ばしたる春一番
和田のり子
意地を見せ腸見せぬ焼栄螺
小林英昭
腸は「はらわた」と読む。栄螺の蓋を開けると身があってその奥に肝がある。うまいが切れやすく取りにくい。腸に本心という意味もかけてある。
しゃぼん玉かがくの色を輝かす
山本 賜
シャボン玉の表面が虹色に見えるのは、膜の外側と内側で反射する光の「光の干渉」という現象のため。「かがくの色」は誰にもできない詩の表現。
春昼や検温銃が通せんぼ
壽命秀次
ピストル型の検温器は、オデコで測るからギクリとする。看護師さんに「前髪をあげろ」「帽子をとれ」と言われると、それだけで血圧が上がる。