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134回 俳句遊遊

124回 川柳天国


   
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第十五回滑稽俳句大賞審査結果発表
大賞は松村正之の作品に決定致しました!
大賞 大 賞 松村正之 (三重県)

十二月八日と気付く夜の厠
終活と見え来る年末大掃除
それぞれの目線違へて初写真
昔ほどなつかぬ孫へお年玉
けふだけは初鴉とておだてられ
ワクチンの列に御慶を交はしけり
ポイントがどうのかうのと一葉忌
戦争のニュースで包む冬の薔薇
死ぬるまで飲めてふ薬冬の鵙
かろがろと死後の話や日向ぼこ


詳細および入賞作品はこちら   
 

第十回滑稽俳句協会報年間大賞決定!
 
天 賞 花岡直樹(愛媛県)
「行く年をスピード違反で逮捕せよ」
地 賞 藤森荘吉(東京都)
  「簡単な話もつれる夜長かな」
人 賞 上山美穂(愛媛県)
 

「透明な線を描いて燕とぶ」


詳細はこちら   
 

今月の特選句

行先は俺も桜も同じ土

木村 浩

この句には哲学がある。哲学とは人間とは何かを考える学問 である。この句を表題にして、新しい切り口の哲学論文を書い てみてはどうだろうか。

筍のゆですぎ会話はずみすぎ

加藤潤子

原因と結果の句のようにも見えるが、どちらが原因なのか曖 昧なところが可笑しい。原因は、筍と会話の双方にあり、同時 進行と考えよう。

早よ歩けと圧力かける春一番

月城花風

春一番の特徴をよく捉えている。春一番は、強風のトップバッ ターとしての誉れを鼻にかけているのだ。さっさと歩けとは余 計なお世話だね。

子の通る度ひなあられ減ってゆく

ほりもとちか

あられの山が少しずつ小さくなっていく。犯人は特定されてい るが、気が付いていない振りでそっと足す。犯人はバレている とは知らずまた犯行を。

「手を焼く」は火傷にあらず山笑ふ

荒井 類

「手が後ろに回る」「腕が上がる」「指をくわえる」など、字義通 りの意味とは違う意味をもつ言葉がたくさんある。日本語の魅 力の一つである。

初蝶のよちよちあるくかぜのうえ

森岡香代子

俳句では、まだ誰も使っていない、全く新しい表現が見事にで きた時、「お手柄です」などと褒められる。「蝶が風の上を歩く」 という発見がそれだ。


 今月の秀逸句  七七をつけてみました

 
 左手は猫の手にして春キャベツ切る 壽命秀次
   ・・・ゆびを切らない包丁づかい
 
 よく喋る口をもちより百千鳥 日根野聖子
   ・・・なに言つてるかわからないけど
 
 四月馬鹿愚者が賢者を煙にまき 青木輝子
   ・・・賢者はわざと巻かれたふりか
 
 小春風麩屋の暖簾のふふふふふ 久松久子
   ・・・お酢の店ならすすすすすすす
 
 つんつんと音の芽吹きや通学路 山本 賜
    ・・・早く帰らにや塾に遅れる
 
 婆の眼はさながら忍者土筆摘む 西野周次
   ・・・隠れ上手の土筆逃さず
 
 花吹雪落ちてたちまち花筏 梅野光子
   ・・・花びらどれも変はり身早し
 
 翔平をスマホで観つつ目刺焼く 井野ひろみ
   ・・・ひろみさんとて二刀流だね
 
 懐の深さに甘え卒業す 柳 紅生
   ・・・卒業をしてもらわにや困る
 
 夏の海孫にはなくて種痘痕 長井知則
   ・・・僕もつけると孫が困らす
 
 さくら咲く土手へ土手へと足弾む 井口夏子
   ・・・慌てすぎると土手んとこける
 
 ひらひらの蝶追うスカートひらひら 永易しのぶ
   ・・・蝶とスカート似たやうなもの
 
 石を蹴る退屈の子に春日差 名本敦子
   ・・・それを観てゐる親の退屈


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