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143回 俳句遊遊

133回 川柳天国


   
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第十六回滑稽俳句大賞 作品募集!

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第十一回滑稽俳句協会報年間大賞決定!
 
天 賞 工藤泰子(岡山県)
「なかほどにお詰め下さい鰯雲」
地 賞 上山美穂(愛媛県)
  「電柱も棒立ちとなり冬の朝」
人 賞 森岡香代子(愛媛県)
 

「ほんとうはみんなかなづち鯉幟」


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今月の特選句

伊予柑を置いて私の予約席

八塚一靑

伊予柑は、厚めの皮を剝くと爽やかな香りが部屋中に広が る。甘味と酸味の濃い果汁がたっぷりで、どっしりと重みがあ る。文鎮にもよし。

焼芋や右手左手右手くち

月城花風

熱々の焼き芋を手にしての風景が進行形で活写されて可笑し い。「持ち替えた」などと動詞を使わずして名詞だけで動きを 表現して愉快である。

雁首を揃へ討たれし落椿

西野周次

この句には作者の残念な気持ちが出ている。まだ十分に美し い椿が討たれたのだと見た。いっせいに落ちた椿を「雁首を揃 へ」として怒りも表現。

シャッターもこの私も冬さびて

山本 賜

かつては賑った商店街も今やシャッター街。人通りの少ない 街は何とも言えない寂しさがある。シャッターに自身を重ねて しみじみと人生を思う。

真犯人わからずじまい春炬燵

卯之町空

テレビドラマを見ていたが、うとうとしている間に話は終わって いた。ぼんやりした頭で考えてはみるが、結局、誰が真犯人だ ったのか謎のまま。

みいつけたかくれんばうの藪椿

吉川正紀子

花が小さめで葉に隠れている藪椿を、かくれんぼしているの だとした場面設定が楽しい。「みいつけた」という子どもの言い 方も可愛らしい。


 今月の秀逸句  七七をつけてみました

 
  目のみ黒なり濁世見し白魚は 峰崎成規
    ・・・をどり食ひする人は気付かず
 
  初夢を落とさぬやうに抜け出しぬ 椋本望生
    ・・・小用済ませてまた潜りこむ
 
  ファスナーの言うこと聞かぬ春ジーンズ 久我正明
    ・・・日頃の躾がなつてないから
 
  節分の光の中にある光 日根野聖子
    ・・・眩いばかりに光る一句よ
 
  見て見ぬ振りのできる金魚は偉い 鈴木和枝
    ・・・無視されたけど俳句で褒める
 
  節分や鬼の避難所満杯に 花岡直樹
    ・・・鬼に人権ならぬ鬼権
 
  脇役の根深が主役伊勢うどん 岡本やすし
    ・・・名脇役は主役を食ふや
 
  きっかけは二人っ切りの日向ぼこ 白井道義
    ・・・温められたらその気になるさ
 
  絵かるたを覚え幼なの下克上 柳 紅生
    ・・・爺はほんまにちよろいものよと
 
  啓蟄を待てぬこの虫あの虫も 相原共良
    ・・・句を詠む人もせつかちさんか
 
  手袋のろくぶて遊び昔々 瀬川至安
    ・・・ひつかけられし苦き思ひ出
 
  煮凝の敵はレンジのチンだった 加藤潤子
    ・・・チンと鳴るたび震えとまらず
 
  薄氷の下で金魚のひれ動く 長井知則
    ・・・人間ならば寒さに喚く


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