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二ン月の眠れる木々を揺り起こし |
相原共良 |
天空の郷の干し藷「ひがしやま」 |
相原共良 |
鶯の陽気な声に目覚めけり |
青木輝子 |
破れかぶれ当たって砕けた四月馬鹿 |
青木輝子 |
大風呂敷広げてハッチャケ年忘れ |
青木輝子 |
初糶(せり)のマグロ一億超平和 |
赤瀬川至安 |
火野正平危険があぶない葱畑 |
赤瀬川至安 |
卵酒ひとはそれほど強くない |
荒井 類 |
歯固めや八○二○夢の夢 |
荒井 類 |
プーチンを憎めど無言なるペチカ |
荒井 類 |
節分の夜や鬼嫁無口なる |
井口夏子 |
息白し厠見つけて猛ダッシュ |
井口夏子 |
寒くはないかい水槽の魚たち |
井口夏子 |
新成人迎える大人も幼な顔 |
池田亮二 |
木枯しが骨身にしみてなわのれん |
池田亮二 |
伊勢海老の取り合いに負け蛸を食む |
伊藤浩睦 |
黴餅を捨てろ捨てぬと小正月 |
伊藤浩睦 |
夜更かしの寝惚け眼に初日の出 |
伊藤浩睦 |
節分や隣家の鬼役我が亭主 |
稲葉純子 |
人間が勝手に命名いぬふぐり |
稲葉純子 |
突然や孫の手ぬつと春障子 |
稲葉純子 |
節分会赤鬼の来てツーショット |
井野ひろみ |
バレンタインついでにと買ふ夫の分 |
井野ひろみ |
大試験婆は寡黙を心得て |
井野ひろみ |
駐車場は枯葉のタップダンス場 |
上山美穂 |
冬の夜の夢を脱出まぶた開け |
上山美穂 |
指先の破れ手袋スマホ用 |
上山美穂 |
針山はハットの形針供養 |
卯之町空 |
揉み蓬そっと載せけり膝小僧 |
卯之町空 |
細枝をぶらんこにして鵙一羽 |
梅野光子 |
赤椿つばきの句碑を囲みたる |
梅野光子 |
冬の月川面にゆがむ思ひして |
梅野光子 |
自白にも心に秘する斑雪 |
遠藤真太郎 |
気球界のフェスティバルかな山笑う |
遠藤真太郎 |
辻褄が合わぬ国境黄砂かな |
遠藤真太郎 |
母の優しさバター醬油の鏡餅 |
太田和子 |
お向かいの寄鍋の湯気窓にかな |
太田和子 |
冬の陽のにほひくんくんバスタオル |
太田和子 |
大木に小枝をふやし春がくる |
大林和代 |
またたく間に家の建ちたる余寒かな |
大林和代 |
買いもせず撒かずじまいの年の豆 |
大林和代 |
進路決め見上ぐ厳寒の北極星 |
小笠原満喜恵 |
寒鰤に箸の止まらずもう一杯 |
小笠原満喜恵 |
蠟梅の香につつまれし古き家 |
小笠原満喜恵 |
アウェイ戦望むところよ石蕗の花 |
岡本やすし |
俳諧のちからは無限初句会 |
岡本やすし |
旅人や春を探して一句詠む |
沖枇杷夫 |
秋田鍋秘伝は薬喰にあり |
沖枇杷夫 |
冬の炊き出し我にもあらむ慈悲心 |
沖枇杷夫 |
飲兵衛に待ったをかけるコロナ風邪 |
加藤潤子 |
水洟の元をたどれば飲みし酒 |
加藤潤子 |
下灘の今が見ごろの水仙花 |
門屋 定 |
年明けて俳誌届けば二月号 |
門屋 定 |
寒椿女性も花も化粧する |
門屋 定 |
幼児また昼寝の時間思索せり |
北熊紀生 |
卒業証「法学士」とは僕のこと? |
北熊紀生 |
年金日バレンタインの翌日は |
木藤隆雄 |
食べきるや二回に分けて福の豆 |
木藤隆雄 |
商法の見え隠れして恵方巻 |
木藤隆雄 |
松の内赤ら顔したえびす顔 |
木村 浩 |
松の内暦めくらず屠蘇続け |
木村 浩 |
木の芽ものの芽山岳鉄道の眼 |
久我正明 |
葉牡丹は夜な夜な躍るバレリーナ |
久我正明 |
東風吹くや殿様寿司は足で踏む |
工藤泰子 |
本物の土を耕す田打ちかな |
工藤泰子 |
ポケットを叩いて四温日和かな |
工藤泰子 |
本利き猪口や新搾機の寒造 |
くるまや松五郎 |
報恩講頭上をめぐる募金笊 |
くるまや松五郎 |
梅の樹の苔の早緑草庵の早春 |
くるまや松五郎 |
掃きよせる線香の香の落椿 |
黒田恵美子 |
白椿月命日の祈りとも |
黒田恵美子 |
いち早くつくしのにがさ春が来る |
黒田恵美子 |
日溜りを丸めて産まれ寒卵 |
桑田愛子 |
鳩型サブレ十字に割れて二月尽 |
桑田愛子 |
冬晴に置けば石鎚輝けり |
桑田愛子 |
鏡開の終はるや否や恵方巻 |
佐野萬里子 |
食べきれぬほどの予約の恵方巻 |
佐野萬里子 |
狐の嫁入り海山道神社の節分祭 |
佐野萬里子 |
寒稽古褌きりりと振る竹刀 |
壽命秀次 |
妻の待つ鯛焼一番我二番 |
壽命秀次 |
焼芋屋「来なきゃ行っちゃうよ」の拡声器 |
壽命秀次 |
吾が影の八頭身や日脚伸ぶ |
白井道義 |
湯豆腐や男やもめの腹八分 |
白井道義 |
初詣龍の如きの長い列 |
鈴鹿洋子 |
震度七半島かける虎落笛 |
鈴鹿洋子 |
童謡の流れる町や春の雪 |
鈴鹿洋子 |
トボトボ歩けばトボトボ人間になるぞ |
鈴木和枝 |
烏追い払う鬼を見たかのように |
鈴木和枝 |
新年や人生日々が日曜日 |
髙須賀渓山 |
正月や暦の様に行かぬもの |
髙須賀渓山 |
止らないくさめ昨今の永田町 |
髙須賀渓山 |
笑い皺一本ふえて初鏡 |
髙田敏男 |
御降と聞いて子どもは服を見る |
髙田敏男 |
悪童の今日は泣いてる二日灸 |
髙田敏男 |
演奏会開かれている冬の山 |
田中 勇 |
腰かがめ話かけたり冬すみれ |
田中 勇 |
降る雪や童話の世界をひろげゆく |
田中 勇 |
雲水のまた寝坊せり百千鳥 |
田中やすあき |
春寒しなんと小さき時計台 |
田中やすあき |
駱駝から落ちる名騎手春の月 |
田中やすあき |
あかぎれはちよつとビターな出来事と |
谷本 宴 |
頭無き人形世田谷ボロ市 |
谷本 宴 |
草食男子の見習ふべきや猫の恋 |
谷本 宴 |
冬紅葉弟の背な押す兄の手は |
千守英徳 |
冬温き伊予路を立ちて箱根路へ |
千守英徳 |
川のごと愛媛マラソンの一万人 |
千守英徳 |
初富士の座するソーラーパネルかな |
月城花風 |
びんずる様のごとし皸の手も湿る手も |
月城花風 |
水洟を垂らす少年還暦に |
土屋泰山 |
獺祭や寅さんのごと啖呵売 |
土屋泰山 |
寒泳や回れ右するZ世代 |
土屋泰山 |
この日より良き年であれ節分会 |
坪田節子 |
元旦の地殻変動神も泣く |
坪田節子 |
受験の子四人もかかえドキドキよ |
坪田節子 |
晴れ女雨男ゐて春隣 |
長井多可志 |
三寒の現場四温のポリティシャン |
長井多可志 |
登記簿に甲句と乙句日脚伸ぶ |
長井多可志 |
そぞろ歩きや寒明の土手ならば |
長井知則 |
想い出の巡り巡って冴返る |
長井知則 |
十歳で一つと数え年の豆 |
永易しのぶ |
マネキンの服はパステル春浅し |
永易しのぶ |
紅梅は丸し愛らし餡甘し |
永易しのぶ |
荒波と鍔迫り合ひの冬鷗 |
西野周次 |
思ひきりモンローウォーク野に遊ぶ |
西野周次 |
テレビの方に向いて頬張る恵方巻 |
花岡直樹 |
木枯に負けてたまるかビール飲む |
花岡直樹 |
冬枯やダム底の橋現るる |
浜田イツミ |
一升瓶に挿す千両や外厠 |
浜田イツミ |
ちりめん皺なら負けないぞ葉牡丹よ |
浜田イツミ |
花筏無銭旅行に保障なし |
久松久子 |
冬瓜の尻餅つけども助けなし |
久松久子 |
子に説教さるるも嬉し木瓜の花 |
久松久子 |
うすらひは水の角質層ならむ |
日根野聖子 |
人生は果てなき散歩いぬふぐり |
日根野聖子 |
桜雨気分半分酔い半分 |
細川岩男 |
老体のやおら目覚めて山笑ふ |
細川岩男 |
流氷やクリオネの旅気まま旅 |
細川岩男 |
庭に来るいつもの猫や太郎月 |
ほりもとちか |
大阪は粉もんの街春を待つ |
ほりもとちか |
初泣や心がフリーズしちゃってさ |
ほりもとちか |
血圧のようやく下がる七日かな |
南とんぼ |
骨密度どんどん落ちて骨正月 |
南とんぼ |
鬼やらい鬼棲む妻が鬼を打つ |
南とんぼ |
東風吹いて絵馬結願に嘶きぬ |
峰崎成規 |
穴出づる蟻に無休の覚悟あり |
峰崎成規 |
何故爺はそんなに多いの?年の豆 |
明神正道 |
春の陽や無言で老いを語る友 |
明神正道 |
春検診中くらいなりおらが腹 |
明神正道 |
尻餅をつくほどもなし若菜籠 |
椋本望生 |
買初のメモの書出しアレの飴 |
椋本望生 |
ウィンクをして待って居る達磨市 |
村松道夫 |
大寒やにぎやかとなる訃報欄 |
村松道夫 |
ふてくされ葉を落としけり大冬木 |
村松道夫 |
風の兄弟春四番は末つ子か |
森岡香代子 |
ふきのとう風のささやきまつている |
森岡香代子 |
薔薇の芽やここから未来図はじまるや |
森岡香代子 |
落第の報告倍率をつけ加へ |
八木 健 |
思ひやる潤目に鰯の哀しみを |
八木 健 |
鬼の豆闇に仮想の敵を撃つ |
八木 健 |
蛤がお椀の中で澄まし顔 |
八塚一靑 |
重力に介錯される椿かな |
八塚一靑 |
雪卸天上天下シャツをぬぎ |
柳 紅生 |
贅肉の炭火焼きなり置炬燵 |
柳 紅生 |
不覚にも財布に風邪をひかせけり |
柳村光寛 |
インバウンドの二礼二拍手冬帽子 |
柳村光寛 |
スクワット五回で止める寒夜かな |
柳村光寛 |
あちこちの名物集まる三が日 |
山内 更 |
フリースの静電気光る寒夜かな |
山内 更 |
数多ある目の慣用句春眠し |
山内 更 |
風の中春の扉の見え隠れ |
山下正純 |
喉仏の骨を拾うて今朝の冬 |
山下正純 |
喧嘩しても鬼にはなれず豆拾う |
山下正純 |
もう少しもう少しで春の野に |
山本 賜 |
踏み出した一歩が重いお正月 |
山本 賜 |
悴む手ハッハッハッの息温し |
横山洋子 |
冬ざれの墓地に造花の増えにけり |
横山洋子 |
ショッピングジェンダーフリーの冬の服 |
横山洋子 |
身を守る保護色をして蕗の薹 |
吉川正紀子 |
擬人化で描く落椿の嘆き |
吉川正紀子 |
梅の香にちょとほぐれたる仏頂面 |
渡部美香 |
諍へる老いの二人に春闌ける |
渡部美香 |
バレンタィンの外巻きパーマ初めての |
渡部美香 |
能登の地震日本中が喪に服す |
和田のり子 |
男前の写メール届く成人日 |
和田のり子 |
女正月ああやれやれとシュトーレン |
和田のり子 |
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