青山桂一
早乙女は眺めるだけの今日の農
揚雲雀栖いづくと探しおり
仲よくと残りし鴨に伝へたり |
秋月裕子
五月の海まぶし引込線さびし
いちご摘みかごを抱えて香にむせぶ
若者等マスクだらけや歩道橋 |
麻生やよひ
蟻地獄自慢の斜面に餌落ちず
雨風に散りてもみたし水中花
不可思議と不気味毛虫の丸まりて |
足立淑子
梅雨さなか駐輪場で泊まる足
短夜や英語でしやべらナイト見る
非通知の電話すぐ切れ桜桃忌 |
阿部陽子
甲冑の小さき威厳飾りけり
飾られて踏ん張り直し武者人形
鯉幟休めり空にぶら下がり |
有冨洋二
海洋族磯野家系図初鰹
雨粒に乱れてしまひ蟻の列
突進の手加減したり袋角 |
有吉堅二
初鰹恨めし吾輩禁酒中
女難の相なしといはれし業平忌
どこまでが顔か大きく汗拭ひ |
安藤淑子
老鶯の呼び合ふ深山謙虚穴居
新緑を褥に月山眠りこけ
酒藏を眼下に踊る鯉幟 |
飯塚ひろし
更衣バツ一などは当たり前
飛魚はひよいと地球をはみ出せり
寝た振りも一兵法や蟇 |
井口寿々子
自販機の御機嫌ななめ走り梅雨
一匹の蜘蛛空中を遊泳す
東京のビルを揺らして青嵐 |
井口夏子
竜宮に我をいざなふ海亀くん
落ちこぼれたら
抜かれてしまふ黒穂かな
ファスナーのだんだん下がる衣替え |
池田無了
春めくやちかんの顔して絵など描く
開花日は二日後桜力んでる
へそ出して花もはじらう乙女かな |
伊藤浩睦
春灯や死ぬほど暇な美術館
見上げれば肩も凝ります藤の花
潮干狩わたしは貝になりたくない |
稲沢進一
蟇鳴くや虎造美声かと思ふ
考へることは他人に任せ夏
老鶯や年金暮らしまだ早し |
井野ひろみ
鶯や一声聞かせそれつきり
去年の巣のリフォーム急ぐつばくらめ
草取りや知らぬ間に手が隣まで |
今城夏枝
心臓に香りの届く新茶かな
ぺちやくちやと乙女らの行く薄暑かな
味もまた青しとおもふそら豆よ |
越前春生
夏帽子脱げば浦島太郎めく
することのなき父の日の暮れにけり
焼酎の輪や青雲のここざし |
奥脇弘久
五月富士中途半端な空にゐる
冷奴地酒の薀畜馬耳東風
薔薇園の色香に迷ふカメラマン |
笠 政人
丸剥きにされて羊の衣がへ
子雀のころんで見えし空の色
寝たままの金魚体操明易し |
可知豊親
真にうけて貰ひ泣きする4月馬鹿
役づくり万全にして万愚節
その嘘は誠かと問ふ万愚節 |
加藤澄子
花樗白檀の香を放ちけり
糸瓜植へて子規の目線で眺め居り
蛍飛び来る携帯の写メールに |
加藤 賢
青葉憂し浪曲唸る八木健氏
牛蛙喉つくろうて鳴く奴も
声ほどの数には見えず行々子 |
川島智子
政治家も小粒になりぬ鯉幟
旺盛なみどりに負けて五月病
蛞蝓家なき故に厭はるる |
久我正明
たけの子の突然出でて地主かな
しびれけり抜かれた後のお大根
ウグイスの発声練習声嗄れる
|
草薙一朗
柱なきマンションに住み子供の日
インフルに首座をゆずれり夏の風邪
女王蜂老いて乱れリ蜂の国 |
工藤泰子
アンテナを宙に拡げて海芋咲く
猫消ゆる茅花流しに流されて
柿若葉前頭葉を赤く染め |
倉方 稔
昭和の日遺品のラヂヲよく喋る
海の日や模型帆船波を恋ふ
生ビール喉越しわづか数秒間 |
黒田忠一
メーデーの行列まばら風に散る
孟宗竹の根は着実に家に向く
山菜のどつぷり漬かりし腹笑ふ
|
小杉 隆
もやし売れ軍手の売れぬ梅雨の街
検査後に妻へ苺のケーキかな
夏風邪は豚の恨みやトンカツ屋 |
小玉石水
国中の騒ぎを逃れ温泉に浸かる
診断を自分で下し叱られる
すれ違ひ多き会話のキャッチボール |
桜井宇久夫
夏場所や天敵たらす土俵入り
夏風邪にマスクしてみる侘住ひ
人肌はすでに忘れし冷し酒 |
佐治洋一
山笑ふ乳母車から犬の顔
赤信号を突つ走るつばめかな
目借り時蛙が講義聴きしかな |
佐藤古城
喰うかいと九絵すすめらる空海忌
門の花問はれシランと答へけり
蕊を見せ薔薇が誘へりアイラブユー |
佐野萬里子
予報はずれ卯の花腐し髪染めに
さくらんぼ孫より先に鵯の来て
葉桜や明智の妻の墓小さき |
佐野ゆきこ
楽しみは日曜パズルで自己確認
ハエ叩く家宅侵入の廉により
庭の木と話す妻みて夫訝り |
柴田真一
合コン言ふ社交場あり山笑ふ
不況風故郷の檀家も干上がりて
しかばねかんむりへねづく座禅草 |
清水呑舟
我が性に欲しき気品や業平忌
海開新神主は晴れ男
かにかくに美しきは良けれ水中化 |
首藤虎男
山彦はヤッホーこだまは鹿と聞き
生蛸に鉢巻しめて定まらず
水増しで口裏合わせ肝冷やす |
壽命秀次
泳ぎ舞ふギアチェンジして鯉幟
新妻のまとめて脱がす筍の
指先に灸を据へる?穂かな |
白井道義
擦れ違ふ犬にべんちやら風薫る
角刈りも丸刈りもあり剪定す
手の平を返したやうに五月来る |
杉村福郎
夏立つやマスクして観る阿修羅像
竹の子の曲がり出たるは誰のせい
薔薇を持つ手に蜂が王右往左往
|
鈴木和枝
都会のスズメ私のばつかり見てる
田を這い上り田植機のハミング
定位置に招き描いて亡父と思う
|
鈴木みのり
サングラス我が家代々下がり眉
すったもんだぺんぺん草の独り勝ち
オロナミン飲んではつらつ白牡丹 |
田菲路
草刈るや校長職に逃げ場無し
菖蒲葺手伝はされて独鈷の湯
朝市の婆の猥談蒸し鮑 |
高橋真紀子
夏やせを恐れメタボのままでいる
冷や酒の一杯ごとに愚痴あるる
ヒキガエルおのが醜い顔知らず
|
高橋 都
これ以上まるくはなれぬねぎ坊主
似合うマスク似合わぬマスク
新ウィルス
遠雷やジャグジーバスは十七階 |
高橋素子
観覧車ぶつかりそうな雲の峰
鯰夫婦の喧嘩をとらへ地震計
わが鼻を棲家としたる桐花粉 |
田代青山
モンローのほほゑみ黒子春愁
フラフープしてをる星や春愁
焼きそばを山と焼きたる桜かな
|
田代青波
みちのくの馬蹴と言へり蕗の薹
子つばめの巣に
片寄つてへしやげゐる
学童の揶揄先生のサングラス
|
田敏男
斑猫や付馬つれて若旦那
牡犬のモンローウォーク茅の輪かな
親方の目を盗みけり三尺寝 |
田中章子
柿若葉ムンクの顔も緑色
金魚鉢サラダを盛りし新婚さん
いくつ星あるのか見合ふ天道虫 |
種谷良二
質草にならぬ女房と初鰹
読むよりも鯖は煮てよし焼いてよし
栄誉賞初めて飛んだ飛び魚に |
椿 良松
喧嘩するごと鞦韆の合はぬ揺れ
同じ皺つくりし夫婦春惜しむ
目借りどき欠伸の喉の奥の闇 |
飛田正勝
母の日や父と子の日を道連れに
シンプル・イズ・ベストトマトの丸かじり
現役の魚食ひし鱧食ひにけり
|
戸谷笑子
吹流し滑稽菌も泳ぎをり
後期とは高貴なりしや白薔薇
意外やな真打なりし夏の豚 |
中沢荘荷
初鰹思案半ばで買ひにけり
張り切つて来たが誤算の夏句会
甘酒を孫の分まで手を出しぬ |
永島董玉
じやがたらの花や実になる話とて
青蘆に考へる人蒼褪めし
一匹の蠅の五月蠅き独り酒 |
畷 崇子
払つても蟻付いてくる私甘い?
とびこえた五月そよ風室温二十八度
食逸す春菊花を生け飾る |
西 をさむ
大脳とキャベツは直ぐに腐り出す
日本にそろそろ倦いて通し鴨
禅寺の煙ひとすじ毛虫焼く
|
根岸敏三
雲流る羅針盤なる水馬
噴水の無限の景に励まさる
足軽似何を守るや蝌蚪の群れ
|
橋本博之
花吹雪これがお礼であつたなら
三分の診療卯の花腐しかな
年頃の娘なくとも桐の花 |
長谷川治子
あるはずの服見つからぬ更衣
モデル着ているから似合う更衣
|
原田 曄
夕立に周章てて潜るプールかな
衣更えてやけに小さくなりしかな
筍をたけのこほどの子が抱へ
|
彦阪義久
パソコンにイフゼンエルス昭和の日
警察犬訓練学校青嵐
その日より去年に戻る更衣
|
久松久子
落し文つれなき風に吹かれをり
雀の子三十六計まだ知らず
ごきぶりに殺しの手口聞かれけり
|
日根野聖子
ぼうたんや堂々風に揺れてゐる
あれそれで会話成立豆ご飯
総身にまぶし新緑の風なるよ
|
広瀬遊亀男
薫風来をんな風神の吐息とも
人騙す政治屋のシャツ白Yシャツ
にんげんにできない速さかたつむり |
藤岡蒼樹
夜桜や三味と掛け合ひ都都逸よ
一献と缶を数ふや花の宵
突風にとられ地団太凧の糸 |
藤森荘吉
夏来たるゆるいパンツはもう捨てる
休日のお風呂の中で石鹸玉
かたつむり些か自由なる速さ |
藤原セツ子
城山の緑縫ひつつリフトかな
万緑のみどりに染まり武相荘
雲一朶千の緑はもこもこと
|
二神重則
かゆみ止め置いたはずだが五月かな
夏風車思い思いの起電力
五月病君もたれるか吹き流し |
坊野留吉
オペラ座に招待状を春の猫
山吹になりはしまひか給付金
端山とて今に見ておれ椎若葉 |
星加克己
けつこうと鳴くや眞昼の羽拔鶏
丁と打ち半と返して蝿叩く
ちらりじろり見て見ぬふりの扇風機 |
堀川亮二
竹の子の場所とりかくも法外な
菜園のぶるぶる震え春嵐
行き先は風に任せて恋ボート |
前川敏夫
こんな筈ないと老鶯鳴き止めず
時の日や腕にはめたる指令塔
悟りとは睡りに近し未草
|
松尾軍治
インフルにマスクかけたし阿修羅かな
カタツムリでんでんむしかエスカルゴ
恋猫に心うなづき床の中 |
松田吉憲
年金の受給手続サングラス
絵日傘のまつすぐに来る興信所
夏めくや妻の大きな咀嚼音
|
丸山紘一
断罪も鬼女は春眠覚めやらず
春宵の酔狂庇ふ身の覚え
お遍路も並ぶこんぴら芝居小屋 |
丸山祐司
人間の極悪非道目刺焼く
遺言がいさかひの元地虫出づ
花筵肉付きうすき尾?骨 |
三木蒼生
さらばさらばとちるさくらさくらかな
ダイヤモンドダストはガラス四月馬鹿
黒日傘キツネマスクのマドンナ来 |
三塚不二
何事も決断一つ残る鴨
乱鶯や弱き男の応援歌
茶摘女の遠目がよろし紅襷 |
三橋一笑
梅漬やマニユアル顎でページ繰る
運動会おなご騎馬がのし掛かる
栗の花住職の膝に吾子眠る |
無患子
知らぬ間の傷あと残る衣更え
昼の飯木の芽草の芽振舞わん
ふゆ太り捩れ捩れとヨガは言う |
虫倉蝉音
大婆の畑の実梅?ぐ初老
粋狂の六十路男ぞ菖蒲酒
更衣シャツもズボンも寸足らず |
むつみ
マイカーに同乗頼む天道虫
河骨のなすすべもなき名前かな
ネット裏球筋を読む雨蛙
|
村上美和
海呑むはいそぎんちやくの大志なり
島茂る遊女の墓は石三つ
ひと雨の欲しくて新樹騒ぎだす |
百千草
麦の秋背中を掻いて呉れないか
壮絶な最期と言はむ薔薇散れり
この星に今ある不思議夕薄暑 |
森岡香代子
洗ひざらしのシャツの
メタボのシルエット
しまひまで筋を通して蕗の皮
茹でられし新じやが双肌ぬいでおり
|
森 要
風まかせメタボ知らずの鯉のぼり
書家の意に作句促す初夏の風
暑くなり蝶々橋に蔭宿り
|
諸中昌之
大西日あびて落した草野球
泣き相撲「泣いて頂戴」親ごごろ
蝦夷梅雨や湿ることなき味噌つ滓 |
八木 健
虫も体操ぼうふらのスクワット
子燕の首の伸縮自在かな
どこが違ふの夏痩とダイエット
|
柳澤京子
新緑や根生再び滑稽句
人馴れの雉も声挙げ歩み寄り
子供の日婆は患者に孫ドクター |
山岡冬岳
下心あつて団扇にあふぎけり
抜け駆けの筍の子の竹となる
盗人に見られ筍掘つてをり
|
山口えつこ
懸垂のごと絡まるや藤の花
ポケットに丸文字のメモ大手毬
ライラック稚児の玩具の飯一膳 |
山口濤聲
上流を目指してばかり水馬
紅ひいてメタボリックの更衣
遭遇を知らぬそぶりの蝸牛 |
山下正純
村雨や三三五五の花筏
実直を旨として立ち葱坊主
雛罌粟の揺れて胡蝶をまねびをり |
山本あかね
夏場所やインフルエンザ押し出しに
風五月味付海苔が上顎に
草餅や圧倒的に漉餡派
|
もとしづ香
ちやほやとその一つ目のさくらんぼ
待ち時間もうないわたし浮いて来い
母の日へよちよち寄つて来る昔 |
山本 賜
大根の花の盛りに出つくはす
聖五月オセロゲームの白と黒
むらさきのサンダルにして蛇に逢ふ
|
横山喜三郎
百本の脚をからめず百足逃げ
つかの間の若妻消えて昼寝覚め
かなかなをまづ手始めの句作かな |
吉田恵子
足裏に凸凹感じ薄暑かな
先方もこちらを覗きバードデー
蚕豆を摘む老夫婦の口ゲンカ |
吉野香風子
褒められて三日つゞきの浅蜊汁
行く時は思へど一人ではさみし
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渡部さだを
青芝の抵抗パッと決まらない
家事みんな夫に丸投げ更衣
部活の子頬つぺに落す柏餅 |
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