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   2010年7月の滑稽句

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青木冶敬
黒潮を飲み込む美味さ初かつお
初かつおウツボのタタキぞ土佐の味
土佐の旅ゴルフに勝る初鰹かな

青山桂一
幼には押すが怖かりラムネ瓶
破れ寺の育ち過ぎたる今年竹
更衣ポケット少なき服となり

秋月裕子
つつじ燃ゆ森は脹らみ萌えている
疲れ足止めて青蔦つやつやと
不断着は木綿に限る梅雨兆す

麻生やよひ
鯉のぼり痩せる肥るは風任せ
江戸前といへども穴子尽しでは
彼の海は今も剣呑鑑真忌

足立淑子
ipadそんなに欲しくない月夜
流れ星カムフラージュが得意だな
鳳仙花ふしぎな力持っている

有冨洋二
井戸端の会議終わらず水遊び
キックオフ昼間にされよ夏痩せる
水虫を踏みつラジオの体操や

有吉堅二
葉隠れの術に長けたる青蛙
晩成をあきらめて食ぶ柏餅
キミ緋鯉ワレは真鯉の恋のぼり

安藤淑子
元気良き証の放屁風薫る
枯葉マーク新緑の山へエコドライヴ
耐用年数過ぎし媼も茶摘せり

飯塚ひろし
閻王に舌を抜かれて明易き
弁当を開くと下がる毛虫かな
図書室に人魚の置きし夏帽子

井口寿々子
のつそりと来て喉ふくらます蟇
十薬の一輪ならば愛らしき
囁きのみんな筒抜け青葉風

井口夏子
柿若葉たとえば年のセブンティーン
筍の横綱大関関脇よ
身の曇り丸ごと流し更衣

池田亮二
渡り鳥ビルの谷間の宙返り
紅薔薇や美人ナースは注射下手
彼岸では美女待つというまだ行かず

伊藤浩睦
糞害に憤慨しても愛鳥日
妻朝寝永久の眠りを期待して
薔薇園に魔女と間男潜みをり

稲沢進一
尺蠖の己が長さを測りかね
めまとひを払ひし人にめまとひが
この国は技術大国ミニトマト

井野ひろみ
スコップに蚯蚓おどろき一踊り
日長し正確なる腹時計
初給与知らせる電話春の宵

今城夏枝
御一家は太陽が好き鯉幟
合はせたる胸をはづすやたかむなは
すひかづら人の世に耳?てる

越前春生
短夜のもてあましゐる余生かな
転職の日銭いくばく花菖蒲
晩年の女友達更衣

奥脇弘久
クレマチスぐうちよきぱーと蔵の街
梅雨寒し瑞穂の国の遠のきて
不倶戴天普天間辺野古梅雨永し

岡部一兆
お遍路に手答えしかと新総裁
女医赴任床屋帰りの寄羽橋
山椒魚三度目ほつと永田町

笠 政人
結願の寺の門前鮎を焼く
舶来の蚊帳吊草や鬼にやれ
老公の楯妖艶に百合香る

金澤 健
噴水や無理せぬやうに降りてくる
熱帯夜寝ぐせのやうな髪流行る
徹夜子の安けく眠る夏期講座

可知豊親
溝浚へ諭吉を浚ひ妬まるる
物好きの矢車草を吹いてをる
巌頭に下駄揃へあり造り滝

加藤澄子
風よ吹けみかんの花の香り乗せ
緑陰やぼて茶の泡のすくはるる
穂の吾にみななびきゐる麦の秋

加藤 賢
神さまの出来ごころかも額の花
眼の前の鵜に釣人の嘆くこと
甚平に樟脳の香のなつかしき

川島智子
青芝に犬と幼児四つん這ひ
御器噛を悪と決め読む歎異抄
お隣の水虫気にし足湯かな

北村マコ
子は遠くあんこたっぷり柏餅
山盛りの蚕豆剥かれ小山かな
ここが好きまことに旨し若葉風

久我正明
鯉のぼり上下に並び泳ぎをり
鯉のぼり軒に下ろして皮たたむ
鯉のぼりきつと過呼吸なりぬべし

工藤泰子
アイロンをかけて伸ばせる遅日かな
下駄箱に百足虫潜んでゐたりけり
箱庭にモアイのやうな石並べ

倉方 稔
父の日やオールド貰ふ歳となり
雪形の馬くだり来て名水に
人恋ふることの辛さよすいかづら

黒澤正行
女医去るも梅雨の牛舎の良き香かな
ころり逝く血ぶくれの蚊羨しめり
憚らず庭で交みぬ青大将

黒田忠一
此処は何処雨後の荀此処は前
補植には補植の心地田を植える
明け易の空明けるを待ちかねる

酒井鹿洋
なかんずく霞ケ関の大霞かな
婚活の剪定条件次男坊
政治屋の二世三世雨後の竹の子

桜井宇久夫
大凧を揚げるつもりが引きずられ
夏来るパソコンなんかなくたつて
薔薇の香を盗む心地や鼻寄せて

佐藤古城
鴉の子アホウと鳴けと教へられ
皮剥ぐ如汗の肌着を脱がさるる
而して闘牛ふぐり重々し

佐藤義子
乾杯を何度もせがむ幼児よ
最近の天気こそ移り気ばかり
やつと晴れて背伸びしてるよ花花葉

佐野萬里子
「動物愛護」どころではなし口蹄疫
口蹄疫「五月決着」吹つ飛ばす
元外灘上海万博開幕す

澤田蔦恵
夏草のどこ吹く風や草千里
ベル押さず新緑の風訪問す
走り梅雨角一つ目で降られたる

柴田真一
下へ下森を屁下す青嵐
懐に入れたくなるよな黄金フジ
兵なべて表六玉や葱坊主

清水呑舟
片隅の喫煙室の薄暑かな
我が武骨父の反骨新茶汲む
膝割つて語る友あり蚊遣香

首藤虎男
海外でめくじら立ててマグロ問う 
太鼓腹叩きなぜればドンパッパ
捨てる紙拾う神あり七変化

壽命秀次
遠足に高崎観音乗つ取らる
ふらここや降りた美人の後に乗り
喉ちんこごくごく動くラムネかな

白井道義
碁敵は昔の上司聖五月
腹見せて不貞有腐たれるこいのぼり
母の日の母の笑顔は玉手箱

杉村福郎
見渡せばお尻ばかりの汐干狩
録音の声にゲゲと仏法僧
母の日の妻には婆の日ともなり

鈴木和枝
若者が集まつて昭和の手答えか
あんパンを横目でよく食べたものだ
すずめさん今ならゆつくり話せます

鈴木 哲也
短夜や静かに寝る黒い猫
炎天や庭で遊ぶ小鳥かな
見上げれば星空キラリ夏座敷

高田敏男
女優さん離婚話やあいの風 
般若湯匂い染み着き竹夫人
出目金の愛敬ふるう眼科かな
高田菲路
匿し酒饐えて卯の花腐しかな
吾の他は皆太りたり更衣
霜降りもセルも知らずや更衣

高橋マキコ
梅雨入りの兆しや夜風の重さとは
初物の西瓜を提げて夫戻る
枝豆の粒や前歯をはじかるる

高橋 都
紫煙と別れ薫風を友とせむ
沼に住む河童元気か卯の花腐し
列離れ母手こずらす軽鴨の子も

高橋素子
経本に収まり紙魚の死骸かな
十才さば読み母の日の贈り物
筍に糠喜びをさせてゐる

高松雄三
松山もいよいよじやわい梅雨の入り
てるてるのぼうずぞなもし山法師
梅雨晴にいつてこうわいぼつちやん湯

田中章子
床屋にはなれぬ髪切り虫かなし
ゆつくりとストローに別れシャボン玉
仏法僧こだまかへりにおののきぬ

田中勇
新緑や福耳の孔の毛伸ぶる
座の下を抜く竹の子や元気な子
柿若葉家々の間を貼り付ける

種谷良二
赤青黄黴の織り成す三原色
跳ね上げず歩けぬ性や梅雨に入る
沢蟹の空揚げ刺すや口の中

田村米生
かなぶんぶんカウント八で起き上がり
梅雨最中だから最中を食べるのだ
じやじや馬を乗り回すごとサーフィン

飛田正勝
妻も居て子も孫もゐて春愁ふ
十三に征服されし山笑ふ
三日目もメトロ乗り降り花疲れ

中岡久美子
湯上りの髪に潮風夏の宿
贈り物叶はず母の日の母え
塀にしがみつくのが好きな白い薔薇

永井一朗
粽解く双子利き手を異にして
更衣あしたは威儀を正さねば
本家より競ふ分家の鯉のぼり

采々
犇めいて色の増しゆく躑躅路??
初夏やブラウスの襟は前を向く
目を細め雲と交信雨蛙

西をさむ
勝負する女へ渡すあやめ草
芍薬の立てば歩めの夢心
日が好きで風に逆う矢車草

原田 曄
薄暑かなお相撲さんと乗り合はす
犬の舌かくも長かり油照
日出づる国の天子の西瓜割り

彦阪義久
ワンルームマンション背負う蝸牛
空想もいや妄想もまた夏に入る
かたつむり見つめるリニア実験線

久松久子
献血も出来ぬ齢に藪蚊刺す
流しさうめん上目づかひに啜りけり
母の日や期待はせぬが淋しとも

日根野聖子
過保護かつ過剰包装空豆は
一粒を大事によそひ豆ご飯
あめんぼう硬き水面を窪ませる

広瀬雅幸
鯉幟天を向かぬが歯痒くて
ウシガエル外来種にも生存権
老眼をしばし忘れてサングラス

藤岡蒼樹
打鉤の黒鯛や鳥肌立つ腕
紫陽花の前に止まりぬ縄電車
蟻の列国葬模する曳きゆけり

藤森荘吉
新樹濃し散歩はいくらしてもただ
かたつむりとつてつけたるとこにゐる
鰻重の印象派的賞味法

藤原セツ子
真緑の城山破裂寸前の
花びらの一枚下駄に隠れゐる
うぬぼれの一言多し春の果

坊野留吉
夜の蝶蜜は男の懐に
田植機に油注ぐハイヒール
お龍連れ滝に魅かれし龍馬かな

前川敏夫
女つ気なくてめまとひ纏ひつく
忘れゐしへそくりも出て更衣
人の肩借りて車内の春の夢

松尾軍治
目はギョロ目腹はメタボか初松魚
袋掛脚立ふるえる嫁の尻
俳句など何も浮ばぬ五月晴

松田吉憲
羅や見慣れし人を振り返る
犇きて程よき距離や恋ボート
大切にしまひすぎ黴たりしもの

丸山紘一
夕餉にも萌のさばる不況かな
老櫻に雁字搦めの旧家あり
「鬱」入りて「鷹」落つ春の椿事かな

三木蒼生
恋鳩といふストーカー小走りに
口蹄疫嘆いてをれぬ牛蛙
ツイッター志すかに燕の仔

三塚不二
落雷の一撃猫背反らしをり
蟻の列切っても繋ぐ離れ業
横断の途中に轢死かたつむり

三橋一笑
皆んな黒なり逆光の棚のバラ
クローバー飛機何百を送迎す
未来詰め重い頭の葱坊主

谷むつみ
装備買ひ息切れしたる夏の山
黒星や仕切り直しの名古屋場所
ふんどしの緩み気になる木下闇

村上美和
あいさつをする度沈む春日傘
夏近し坊っちゃん列車は窓を開け
街薄暑群動き出す青信号

百千草
嬰児の乳吸ふ力麦の秋
帰りたい場所があります花蜜柑
ふんわりとオムレツ返る梅雨の闇

森 要
野も山もみどりよりどり目にうつり
こぶし咲きつゝじサツキやはなみ月
紐つきで浮気ができぬ恋のぼり

森岡香代子
雑草もともに伸びるや蕗畑
かたつぶりさつぱり聞かぬ唱歌かな
ほどけきるかをりの海の白いバラ

八木 健
更衣脱皮の心地してをりぬ
草笛の草の苦さよ吹き損ね
逃げ足の六本見せず油虫

柳澤京子
風薫るたらこ梅干にぎり飯
沢内村は天国村の青山河
無視されし夏の夕餉は吾も唖

山内重昭
泥足の猫追つめて梅雨の部屋
老年や匂へど空し夜の百合
雁風呂と決めて顎まで北の宿

山下正純
主なき抜け殻ひとつ夏帽子
明滅の命を論す蛍かな
団円のつつじ千眼もておはす

山本あかね
でで虫の近眼らしく角を寄せ
羽抜鶏背筋伸ばしてやつて来る
道草を楽しんでゐる雀の子

山本けい子
青空を泳ぎ一匹の真鯉かな
否といふ程筍食べにけり
スポーツ紙に同名あるかも若葉風

山本 賜
撫でられて買はれなかつた金魚玉
ナイターに四万四千の歓声
涼しさやきいろく匂ふ歯科医院

横山喜三郎
超ミニの脚・脚・脚や夏きたる
乙女らの臍に辟易はたた神
闇こそが人寄せとなり蛍村

吉田恵子
梅の実は梅酢梅干梅ジュース
新季語となりし水虫お前もか
梅雨晴れ間石鎚登る白き龍

渡辺さだを
マネキンもおつぱい隠す若葉冷
閑古鳥呆けてテレビばかり見て 
羽拔鳥眉にも白髪でてきたか

渡邊美代子
秘めごとの二つ三つあり石蕗の花
笋堀り足裏にやさしき合図あり
一分を通しても女房治まらず