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吉田百千草 (よしだ ももちぐさ)
1 初夢を鼠が曳いてゆきにけり 2 竹馬で行く竹馬の目となりて
3 元旦の街はもぬけとなりにけり 4 草の戸を分かち合ひたる初雀
5 うつぼ草普通に生きる私です 6 特大のぼた餅かかへ彼岸晴
7 寝返りを打たせやりたや涅槃像 8 ごり押しは天下無双の恋の猫
9 啓蟄やをさめがたきは腹の虫 10 桜前線クローン桜かけのぼる
11 人の名がぽんと飛び出る春の雷 12 家出猫餌恋しくて春の月
13 小者には小者の憂ひ鬼やらひ 14 かくあはき二人の未来春の星
15 針の糸やすやすとほる梅日和 16 なぞなぞの謎の深まる朧の夜
17 鴉飛び出せり満開の花の山 18 すぐ落ちたがる桃の蕾を散らすなよ
19 ののしり合うふて睦まじ父子草 20 迷彩服今日は決めたぜ雨蛙
21 虹立つやいつかの何時はいつの何時 22 捕虫網猫は鼠をもてあます
23 筍や弟たちまち兄を抜く 24 天瓜粉打たれ残して駆け出せり
25 うどん屋で父とばったり凌霄花 26 優曇華や嫁に行く気のない娘
27 飼い猫と居場所を分かち籐寝椅子 28 母と娘のひそひそ話朝曇
29 庫の隅に父の場所あり冷蔵庫 30 体型を暴きだされて夕立かな
31 すぐ挫折全力疾走油虫 32 蝉しぐれ街の混声合唱団
33 寄居虫の移り気宿を渡りゆく 34 ロウテクは頼もしからむ蟻の列
35 きびきびと婆が応ふる九月かな 36 藷の蔓引けばめでたやぞろぞろと
37 女郎花見下ろしてゐる男郎花 38 割れ鐘の声掻き消すや稲雀
39 敵に背を向けてはならじいぼむしり 40 こぼすだけこぼして涙秋刀魚焼く
41 青木の実妻は切札隠し持つ 42 火事を見し人の多弁となりゐたる
43 煤払ひ心の煤は磨けたか 44 猫の目で歳暮売り場に迷ひ込む
45 樹氷林思ひ思ひのポーズとる 46 鮟鱇や深海一の太公望
47 寺の門出て毛皮をまとひけり 48 山の神はばきかせをり神の留守
49 着膨れて余生を語る爺と婆 50 日向ぼこ猫の欠伸につられけり



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