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胃の中の薬のとける二月尽 |
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天の川男女ふたりの間柄 |
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ケーブルカー花野の上をすれちがふ |
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うしろ向きに降りる階段秋深む |
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人待ちのつま先落葉集めゐる |
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病む兄に言葉をさがす秋の雨 |
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新妻の白きエプロン秋の朝 |
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宍道湖に映る二つの秋日傘 |
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雑煮食ふロスアンゼルスの娘の卓で |
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スケートの君とつなぐ手力ゐる |
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風引きや異国の町をさまよへる |
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ファスナーの行つたり来たり春浅し |
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春の雪病名告白される身に |
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花冷えや形見の服の新しく |
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会話など不要のふたり夏木立 |
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喪主の声炎天の庭に響きけり |
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指先に残る逢瀬の花吹雪 |
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故郷や東西南北蝉時雨 |
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空港の灯のまつすぐに秋の暮 |
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自転車の君は今朝より夏帽子 |
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グラス持つカウンターが好き秋の夜 |
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トラックの尻が割り込み夾竹桃 |
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縁談を断りに行く梅雨の駅 |
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西瓜喰ふ引越しの荷に腰掛けて |
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恋猫に自動扉が開かない |
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春の海さざなみの向きそろうなり |
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ハングライダー音なく着地秋の浜 |
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さよならの握手やはらか卒業す |
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うつ伏せに乳房をつぶす春愁 |
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新緑のベンチ貸切状態の |
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小さき嘘一つ転がし柿若葉 |
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吾娘の住む異国につづく春の海 |
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この道はくねくね曲がる草紅葉 |
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大声を上げ雪・雪・雪と叫ぶ |
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母の日や母の好みのカレー煮る |
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夏帽子風にとられてラスベカス |
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ロス空港のジヤンボ機濡らす初時雨 |
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ポケットに貝の音して夏の浜 |
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入社式胸の名札の楷書文字 |
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ひと待ちのかぞへていくつ凌霄花 |
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シクラメン買ふひと目惚れしてしまひ |
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恋ふひとを鬼に見立てて豆を撒く |
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人生も手編みの棒もひと目づつ |
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孫の手の熟柿にとどく肩ぐるま |
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日焼け止めたつぷり塗つて恋女房 |
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夏布団とりあつてゐる帰省の子 |
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飾らないところが好きよ沢桔梗 |
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しつけ糸一気に抜いて花衣 |
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おもひきり笑つてみせる初鏡 |
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啓蟄や一歩前へと出る勇気 |
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