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飛田正勝 (とびた まさかつ)
1 今年また出世稲荷へ初詣 2 ああ言へばこう言ふ子らと初詣
3 四食の癖まだ抜けず成人の日 4 読初めのジャンクリストフ持て余す
5 先生の顔と名合はず卒業す 6 先生の制服決まる万愚節
7 万愚節構えて一日過ごしけり 8 朝富士も夕富士も見し初詣
9 禁煙の推進委員卒業す 10 いい齢をしてなど言はぬ犬ふぐり
11 自立して春めく妻の凛として 12 春眠のベル鳴り終はるまで覚めず
13 本代の残りで暮らす四月馬鹿 14 山笑ふ卒寿の父と長尿
15 山笑ふ甲斐路に借りる外厠 16 バスで行く天下の険や山笑ふ
17 勇気出し子の貯えを借りる春 18 行く春や独り寝に行く名画館
19 初恋の人は妻とやヒヤシンス 20 やさしくて叱れぬ子なりさくら草
21 よく回る風車から売れて行き 22 鮨つまむ夢乗せて来た上野駅
23 美しく萎びし妻の手も梅も 24 在宅の夫が受け取るカーネーション
25 怒つたら怖い父の日祝ひけり 26 老老のアロハで帰国穴まどひ
27 教壇に私語止むまでの扇子かな 28 悪いコトまだ出来る齢さくらんぼ
29 父の座に大きく見える鰻置く 30 挨拶のあとは扇子に任せけり
31 盛衰の衰の生家や唐辛子 32 どの国の松茸なるや匂ひけり
33 松茸に万の値の付く走りかな 34 天国に近い居酒屋夜の秋
35 酒以外断つて淋しき夜の秋 36 敬老日独りで回る皿つまむ
37 老いたれど子に従はず敬老日 38 存分に臍曲げてみる敬老日
39 遠からん者も来て観る菊の武者 40 弁慶に二人がかりで菊を刺す
41 弁慶の泣き所まで菊を刺す 42 豚児もう叩けぬ齢秋扇
43 貫禄と言はれて淋し秋渇 44 美しく老いたし妻と冬紅葉
45 聴く耳は持たぬつもりの懐手 46 内面の悪しき子を呼ぶ懐手
47 くしやみして謝辞一言を飛ばしけり 48 居眠りの子に慣れ夜学の講始め
49 一つ家に冬の蚊と棲む喜寿と古希 50 きつかけがつかめず歳暮止められず



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