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柴田 止揚 2 
1 エコならぬ群がる夏の車旅 2 病み人へ闇に乗ずる蚊の一匹
3 墓囲み赤白椿禅問答 4 緑減りCO2の増す大地
5 人も来ぬ団地あきたり山桜 6 流れゆく日に日に変る豆の花
7 相場待つレンコン掘りよ人生は 8 GMの赤にほれ込みバラ砕け
9 位を競ふ森と林の青嵐 10 青蛙薬師如来に願かける
11 濁流を花大根の首と足 12 鍵盤に蜘蛛糸孕む古ピアノ
13 不況風故里くにの檀家も旱上がりて 14 籤当たる「テッペンカエヨ」とホトトギス
15 下手物と食わず嫌いが喰う鯰 16 ころころとわては明るきタンポポよ
17 毒もちの狐のかみそり頬赤く 18 青梅が大きくなりて廃屋に
19 よく見れば顎の外れしあやめかな 20 人は皆海の翁と海老を喰む
21 羽抜鳥今しばらくは色気なし 22 池叩き連れが欲しいと雨蛙
23 誰も居ぬ嚔するときニ八の娘 24 声だけは三枚目なり尉鶲じょうびたき
25 おでん酒天下国家と法螺吹いて 26 蟻の列ダイヤに目暗む人のエゴ
27 リストラを捨て身で生きよ雲の峰 28 夏祭りワーキングプアも担ぎ手に
29 文化の日一筆書きの達磨かな 30 オバマ流大汗男の出番待つ
31 新型が東西南北春超える 32 その昔少年日焼し蝗捕り
33 蚤虱南京虫で泣く兵士 34 蚤虱南京虫で泣く兵士
35 童わっぱ泣く盥の水が旱上りて 36 梅雨時に雨の降らぬに魚降る
37 この夏は白より赤の流行とか 38 時雨来る回覧板を傘がわり
39 「阿吽」とは初めと終り去年今年 40 天界に日輪一つ夏すだれ
41 風鈴や男無口で風を待つ 42 化け雲や長崎はるか棗の木
43 世も末か梅雨酸性とメタボ食 44 下闇に喘ぎ生き抜く白きバラ
45 枝ごしにモクレン停ちて鳥を呼ぶ 46 眼力や三界捉ふトンボかな
47 畦道に地蔵仏や梅雨の花 48 表裏地球が揺れて春は去り
49 食欲に仕事求めて穴まどひ 50 天高く混り気のなき宇宙界



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