| お問い合わせ | ご利用にあたって |

森岡香代子 (もりおか かよこ)
1 さうめんの白糸の滝ひと飲みに 26 音遊ぶほおずきを口に転がせば
2 三日月のスイカの皮はゴンドラに 27 枝豆や飛び出す色をこぼしつつ
3 湯上がりの髪ほどけきる秋の夜 28 バラの赤色に確かな微熱あり
4 かなかなや仕事仕舞の合図なる 29 うたた寝の顎に一射し藪蚊かな
5 熊ン蜂獲物を見る目で我を見る 30 ことごとく物差し狂う秋出水
6 冬の雲潜つてしまひ夜の海 31 ゆうるりと山を掃きをり山すすき
7 恋の猫昨日の猫は恋敵 32 おそらくは夜這ひの星は宇宙人
8 里山の旬をはがし筍掘る 33 山陰り走りいでたる秋の風
9 新緑の影地に揺らぎモノトーン 34 コンパスをくるりと回し颱風圏
10 田植え機や水田ちくちくさし歩く 35 三畳一間の恋か曼珠沙華
11 人間に興味津々七変化 36 味はともかく抱かれ上手のどてかぼちゃ
12 地上の雫の糸よ苔の花 37 松茸の気配を沈め土瓶蒸し
13 朝摘みの胡瓜の軽き音を食べ 38 親離れ出来ぬ子芋のまるまると
14 蜘蛛の囲や銀河の端にかけゐたる 39 一途に紅を濃くする紅葉かな
15 大空を半分走る虹の帯 40 銘柄は油断大敵焼鳥屋
16 水盤の魚動いて水笑ふ 41 柿泥棒無邪気と言ふ出来心
17 朝風呂や己が暑きを流しきる 42 一千個リスの隠したドングリは
18 大空を泳いでみだれうろこ雲 43 池の月風がくすぐり笑ひじわ
19 初蝉の声や朝陽に膨らまし 44 マフラーをギュッとリボンに暮れの街
20 頂上や留まるを知らず大汗は 45 S字形リンゴの皮のつむじかな
21 ピチピチムチムチプルプルビキニの娘 46 福来たれ南天の実の数ほども
22 花火師の罠にはまつて灰かぶる 47 セーターに虫の喰ひたる落とし穴
23 夏空の名刺代わりの入道雲 48 キャンドルの光遊び聖夜かな
24 花火師の企み閉ぢ込めハート型 49 雪だるまニヤリと笑はせ炭の位置
25 ネオンサイン磨き上げたる大夕立 50 雑煮餅熱くて踊るハヒフヘホ



このウィンドウを閉じる