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三木蒼生 (みき そうせい)
1 腸すぽと抜きて海鼠に秘密なし 2 肺炎を連れ駆けつけし風邪の神
3 「空あり」立札寒の駐車場 4 危険物取締法に触れず河豚
5 金運へ出資五円の初詣 6 よく喋る口を鶯餅塞ぐ
7 目も鼻も木端微塵の花粉症 8 物忘れごまかすための万愚節
9 偽ダイヤウインクさせて万愚節 10 四月馬鹿とも気付かざるもの忘れ
11 英会話米が虱に万愚節 12 メタボリックシンドロームの鴨残る
13 答弁といふ方便や万愚節 14 ふぐりなど持たざるものに犬ふぐり
15 監視カメラと合コンの花見酒 16 良い句など出来ずに四月十九日
17 蝶番毀れて果つるチューリップ 18 十薬を抜けり一連托生に
19 十薬の香を嗅ぎ自愛してゐたり 20 十薬といふもヘルペスには効かず
21 目を細め尿する猫や緑蔭に 22 ターザンの真似鶯の谷渡り
23 身を揺すりゐて蘭鋳といふメタボ 24 出目金の目はぱつちりと色黒で
25 休耕田水張つて蚊を育てをり 26 父の日の父今日だけは市民権
27 真贋のさだかならざる紅娘 28 どぶろくや余生ますます不透明
29 負け犬の遠吠え冷酒酌みゐたり 30 ビール飲むカロリーゼロを盾として
31 ビールもて笑ひ冷酒もて泣けき 32 ヘルペスに茅の輪くぐりの効き目なし
33 ヘルペスといふ魚雷抱き暑に耐ふる 34 火の海のヘルペス汗と闘へり
35 疑心暗鬼の髭振りて油虫 36 身を縛る水着タイムに縛られし
37 はらと解きたる素麺の単帯 38 眠さうな甘酒覚ます箸一本
39 舟虫の息詰め出番待つてをり 40 カレンダー忘れて咲けり百日紅
41 真夏日といふガソリンの発火点 42 盗人萩に風盗られ蒸し暑き
43 疑ひつ食ぶ四万十産鰻 44 さてどれが本物土用鰻売る
45 省エネのインコ涼しと喋りけり 46 子の洩らす尿も水遊びのうちに
47 釈迦釈迦と庫裏へ逃げ込む油虫 48 句業とは苦業暑さに病みゐたり
49 ダリ贋作の目玉焼文化の日 50 電飾の星もて聖夜偽装せり



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