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小松正幸 (こまつ まさゆき)
1 日の新た心の新たなる初湯 2 初夢やいろはにほへとちりぬるや
3 朴訥と愚直を杖に去年今年 4 セリナヅナ、おー、ナヅナはもう咲いとるぞ
5 瞳の澄んでおり答辞読む卒業子 6 言葉はきはき愛媛大学新入生
7 花冷えの手をかざしいる燗の火に 8 暗天に突き出す花の枝見上ぐ
9 遠足や母のむすびにかぶりつく 10 春光に透きハナミズキの花の白
11 鳩群れてカラス追ひやる里の春 12 山笑ひ酸素工場お目覚めよ
13 ほつれ毛の顎に張りつき春一番 14 ドクダミの裸電球天あふぐ
15 柏餅食ひて亡き母懐かしき 16 近づけば蛍袋は和紙のごと
17 茫々の草をかきわけ南瓜蔓 18 新緑の若葉を透かし和の光
19 月明に小手をかざせば蛍飛ぶ 20 新緑の楠まるまるこんもりと
21 姿よし梅雨の雲間の障子山 22 しわしわの夏服の列機を降りる
23 雷や退くと見せては落ちかかる 24 若竹の雨に打たれてかうべたれ 
25 遠花火祭りは松前か三津浜か 26 愛大連の文字の大きく夏祭
27 塩漬けの青きリンゴを食ひし吾 28 ボウフラやくの字の浮沈くり返す
29 茫々と百世の美田草いきれ 30 立ち眩みして炎天の石地蔵
31 旱天や蚯蚓の干物其処此処に 32 万物の息の絶え絶え大旱魃
33 舌の根にうまみの残り初秋刀魚 34 どこやらへ旅したくなる鰯雲 
35 風に乗る技は天才アキアカネ 36 コスモスを咲きあふれさせ休耕田
37 御神輿の静かに過ぎ行く過疎の秋 38 秋の水飲まさむと馬の手綱とく
39 鵯の騒ぎ疲れて夕映える 40 孫の鼻拭く手袋をくはへゐて
41 生きとし生けるものを眠らせ初時雨 42 火を打つや虫の息する枯れ葎
43 うす靄にうづまり砥部の霜の朝 44 里山の天まで広げミカン畑
45 尺もある軒の氷柱に隠れ住む 46 暗き世を射る一徹の寒北斗
47 捨て去ればこころ安らぎ冬の道 48 霰かな木々を騒がせ屋根走る
49 蕭々と雪舞ふ里に人を恋ふ 50 雪雲の荒ぶり山の老けゐたる



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