| お問い合わせ | ご利用にあたって |

笠 正人 (かさ まさと)
1 ご利益は靴の泥んこ初戎 26 こはごはと人の世覗く蝸牛
2 杖ついてポツクリ寺へ花菜道   27 ひようたんの偏屈競ふ棚の風  
3 空腹を吹かれては又紙風船 28 ボクシングめく蟷螂の身の構へ
4 俳諧が徘徊となる万愚節 29 身を軽く風に老いゆく猫じやらし
5 パソコンの変換とちる目借時 30 考える葦を気どりてちやんちやんこ
6 冬越しの蚊が水屋より今晩は 31 十二支に濡れたる猫の日向ぼこ
7 嘘ひとつ言へぬ男の万愚節    32 立ち読みの臆面もなきマスクかな
8 丸剥きにされて羊の更衣 33 頻尿に温もる間なき布団かな
9 明易や手足の指のグーチヨキパー 34 冷たさの階段を踏み外しけり
10 寝たままの金魚体操明易し 35 吟行に海馬はげます小春かな
11 百までは生きる気がする四月馬鹿 36 七日早や捻子の捲かるる古時計
12 マイホーム手離すものか蝸牛 37 電飾の集魚灯めく年の暮
13 手の甲に別れを惜しむ恋蛍 38 湯気たつや寒九朝の水シャワー
14 逃げ蝉の小水注射浴びにけり 39 百までは生きる気がする万愚節 
15 毛虫焼く必要悪の臭ひかな   40 撒かれたる貝とは承知潮干狩
16 蚊を打つて少し後悔法話の座   41 秋刀魚焼く煙も立たず味気なや
17 政争の目糞鼻くそカビ臭し 42 老斑は老いの勲章文化の日
18 退屈な蝿とり蜘蛛の横あるき 43 目出度さの目玉いただく桜鯛
19 ちちははの相合傘や茄子の馬 44 露草の伸ばすポパイの腕つ節
20 ケータイ小説読んでみようか文化の日 45 つれづれの臍のゴマとり秋日和
21 倒れても弓矢はなさぬ案山子翁 46 夕厨秋のごきぶり肥えて這ふ
22 パリコレの向う張るやに案山子展 47 穴の蛇異常気象に右顧左眄
23 吾ながら野暮な仕上がり松手入れ 48 柊の花に刺されし鼻がしら
24 草じらみ毟る手元の猿似かな 49 歩く間も惜しとケータイ街師走
25 己が尾に追はれて走る石叩 50 小春日の場末鴉の悪だくみ
51 着ぶくれの五人詰め合ふ一人分


このウィンドウを閉じる