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うつむいたり横を向いたり百合の花 |
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滝の上にさらに大滝山に入る |
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サングラス急に寡黙の人となる |
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文化の日書店に椅子の置かれたる |
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にはとりの見開きし眼に猫じやらし |
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考へて分からぬロダン冬に入る |
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着ぶくれて葉書一枚買ひにけり |
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先生の優柔不断雪合戦 |
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マスクして聞き先ばかりの会議かな |
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湯豆腐やみんな血液型がA |
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雪合戦言い出しつぺが先ず当たる |
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酔ひ醒めのなほ熱燗でありにけり |
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春祭神も白馬も老ひにけり |
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着ぶくれて「国家の品格」買ひにけり |
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これと言ふ趣味とてはなく金魚飼ふ |
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人もまた変温動物日向ぼこ |
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碁敵に負けて首打つ扇子かな |
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大空を支へきれずに流れ星 |
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一言の挨拶長し生ビール |
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開けてみて中に現実福袋 |
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サングラス外せばお国訛りなり |
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この道を行く人なかり道をしへ |
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最初より天辺にゐし木守柿 |
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春寒し叩けば映るテレビ見る |
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誰にでも病歴のあり温め酒 |
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恋の猫防犯灯を点しけり |
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山の地図ひらきてをれば霧晴れし |
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春愁や電子レンヂに呼ばれたる |
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他人事と思へぬ大きくさめかな |
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月おぼろ蛍光灯がチカチカと |
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戦中派早寝早起き蒲団干す |
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草野球チーム六名鳥帰る |
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甚平やむかし校長とはしらず |
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俳諧の多作多捨なりしゃぼん玉 |
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紙魚ひとつ定期預金に利息つく |
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もう一人別の自分がサングラス |
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この家もカレーのにほひ子供の日 |
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燕の巣家賃礼金なかりけり |
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蛇穴を出て見れば村合併す |
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捕虫網森の空気を掬ひたる |
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尺蠖や腹筋背筋鍛えねば |
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イチローはよく打ち吾は蠅叩く |
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夕影や人も胡瓜も曲がりをる |
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地図はなし森に道あり泉ある |
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向日葵を一輪残し退院す |
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走馬灯みんな寝つ転がつてゐて |
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目薬をさして口開くみどりの日 |
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かき氷崩さぬやうにくづしたる |
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初秋や風はいつしか後ろより |
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ゆつたりと流るる大河秋燕 |
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哲学の道の途中に恋の猫 |
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長き夜や朝青龍の髭伸びる |
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蓑虫や運動不足かも知れぬ |
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打水をして昼からは誰も来ず |
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着ぶくれて消しゴムひとつ探しけり |
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一日を一日として秋一日 |
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誰も来ずどこへも行かず障子貼る |
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不満とてなくて曲がりし胡瓜かな |
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工場は閉鎖勤労感謝の日 |
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動かざるものは形に鵙の贄 |
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着ぶくれて街頭募金はじまりぬ |
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茸飯村には住まず町に住む |
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居酒屋の夜は眠れぬ金魚かな |
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鳥渡り天動説を疑はず |
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冷奴裏も表もなかりけり |
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極月や人間といふ忘れ物 |
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冷麦や清く正しく飾らずに |
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冬桜人に告げずに咲きにけり |
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流されてゐるとは知らず立ち泳ぎ |
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どこまでも芒原どこまでも風 |
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先送りばかりとなりて回転寿司 |
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冬の夜のどこへも行かぬ自由かな |
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手も足もすこし遅れて盆踊 |
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人間に耳二つある寒さかな |
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元気よくどれも曲りし胡瓜かな |
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四打数四三振とは鳥帰る |
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河馬の口全開勤労感謝の日 |
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マスクする人間として耳ふたつ |
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知らぬ子が呉れし団栗捨て難し |
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雪合戦まずは当たらぬやうに投げ |
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熱燗や「NO!」と言へずに日本人 |
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幸運も不運も運や福寿草 |
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三月や申し送りしことばかり |
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北窓を開け四角四面の空 |
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蛇穴を出て老人を驚かす |
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恋の猫監視カメラに写りけり |
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春泥をひと跨ぎして春泥に |
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温暖化対策として裸かな |
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白米に梅干しひとつ建国日 |
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あめんぼう水になじめず水の上 |
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まっすぐと見せて直角夏燕 |
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焼酎の水割りばかり出世せず |
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かき氷地球温暖化かも知れぬ |
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焼酎の水割りばかり出世せず |
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曲ったことが嫌いですでも胡瓜 |
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これからは骨の頑張り秋団扇 |
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秋の夜やそれでも廻る冥王星 |
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その日まで叩かれてゐる西瓜かな |
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猫は猫私は私障子貼る |
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秋祭会計報告して終る |
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