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毛三本多きに猿の年となる |
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春遅し交尾忘れし猫一人 |
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上野では踏んづけられて花見客 |
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上野では踏んづけられて花見客 |
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紫陽花と瀕死の鳥も梅雨の中 |
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梅雨あけの嬉しくもあり寡婦となり |
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夏姿柳眉立て蚊を叩き |
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夏草や罪深き影そつと消え |
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夏姿ミニの奥まで陽に焼けて |
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幽霊がルージュをひきて百花園 |
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蝶も花も生きる甲斐なし百恵去る |
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湯煙や羅漢も裸女もクリスタル |
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野ざらしやパーマをかけし仏かな |
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ふるさとは殺される場ぞ鮭帰る |
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年の瀬や死ぬ橋もなき江戸となり |
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はした金放りて祈る酉の市 |
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着ぶくれて色香も失せし年の暮 |
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寒椿ころりと落ちて首寒し |
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へそ出して花もはじらう乙女かな |
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死んだふりして寝転がつてる残暑かな |
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ペットボトル抱き浮浪者の午後三時 |
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冷房をうらやみ野良が覗いてゆく |
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本日は右脳の日と絵など描く |
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住めば都か百階ビル下箱の家 |
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菊つくるもと闇市の男なり |
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初霜や鴉は奪い鳩は乞う |
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トンネルを抜ければくるまの墓場なり |
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生涯現役といいつつ今朝の物忘れ |
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仁王わらうそれほど銭がほしいかと |
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猫が歌い杓子も歌う第九かな |
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この町の露地の奥にもチャイニーズ |
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地蔵さまにはことわりもなく道普請 |
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春めくやちかんの顔して絵など描く |
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開花日は二日後桜力んでる |
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花見酒居酒屋なれば造花なり |
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花の下極楽浄土独り占め |
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花びらを踏んで蝦蟇どの穴をでる |
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五分だけ道草食つて塾へゆく |
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風薫る風見鶏閣下大勲位(中曽根) |
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鯉幟一つ残るは外人宅 |
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蚊をたたく今年殺しの第一犯 |
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雨宿りも少し降れと二人連れ |
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幽霊の出そうな柳芽吹きたり |
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あわれ鮒釣られ放されまた釣られ |
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長雨やしようことなくて長電話 |
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テレビゲーム五人殺してお茶にする |
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勇ましや子より小さき水着着て |
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何事ぞ山へ行く娘の厚化粧 |
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朝寝して蝉の末期を見過ごせり |
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ざりがにはどつこい逃げて子を笑う |
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