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池田亮二 (いけだ りょうじ)
1 毛三本多きに猿の年となる 2 春遅し交尾忘れし猫一人
3 上野では踏んづけられて花見客 4 上野では踏んづけられて花見客
5 紫陽花と瀕死の鳥も梅雨の中 6 梅雨あけの嬉しくもあり寡婦となり
7 夏姿柳眉立て蚊を叩き 8 夏草や罪深き影そつと消え
9 夏姿ミニの奥まで陽に焼けて 10 幽霊がルージュをひきて百花園
11 蝶も花も生きる甲斐なし百恵去る 12 湯煙や羅漢も裸女もクリスタル
13 野ざらしやパーマをかけし仏かな 14 ふるさとは殺される場ぞ鮭帰る
15 年の瀬や死ぬ橋もなき江戸となり 16 はした金放りて祈る酉の市
17 着ぶくれて色香も失せし年の暮 18 寒椿ころりと落ちて首寒し
19 へそ出して花もはじらう乙女かな 20 死んだふりして寝転がつてる残暑かな
21 ペットボトル抱き浮浪者の午後三時 22 冷房をうらやみ野良が覗いてゆく
23 本日は右脳の日と絵など描く 24 住めば都か百階ビル下箱の家
25 菊つくるもと闇市の男なり 26 初霜や鴉は奪い鳩は乞う
27 トンネルを抜ければくるまの墓場なり 28 生涯現役といいつつ今朝の物忘れ
29 仁王わらうそれほど銭がほしいかと 30 猫が歌い杓子も歌う第九かな
31 この町の露地の奥にもチャイニーズ 32 地蔵さまにはことわりもなく道普請
33 春めくやちかんの顔して絵など描く 34 開花日は二日後桜力んでる
35 花見酒居酒屋なれば造花なり 36 花の下極楽浄土独り占め
37 花びらを踏んで蝦蟇どの穴をでる 38 五分だけ道草食つて塾へゆく
39 風薫る風見鶏閣下大勲位(中曽根) 40 鯉幟一つ残るは外人宅
41 蚊をたたく今年殺しの第一犯 42 雨宿りも少し降れと二人連れ
43 幽霊の出そうな柳芽吹きたり 44 あわれ鮒釣られ放されまた釣られ
45 長雨やしようことなくて長電話 46 テレビゲーム五人殺してお茶にする
47 勇ましや子より小さき水着着て 48 何事ぞ山へ行く娘の厚化粧
49 朝寝して蝉の末期を見過ごせり 50 ざりがにはどつこい逃げて子を笑う



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