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飯塚ひろし (いいつか ひろし)
1 初鏡笑顔の稽古してをりぬ 2 元旦や歳は返上つかまつる
3 初鏡初女房の頃もあり 4 目隠しの中も目つむる福笑ひ
5 鮟鱇鍋共に突きて出世せず 6 借金は無けねど寒き首まはり
7 山売れて生家失ふ雪女 8 熱燗に二枚の舌を焼かれけり
9 声変はりして少年は豆撒かず 10 鳥帰り島の人口減りにけり
11 芹を摘み戻る他なき家出かな 12 乙女らの使はぬ針の供養かな
13 農継がぬ倅ばかりや地虫出づ 14 受験子の場数踏みたる面構へ
15 誰よりも若いと言はれ山笑ふ 16 五つほど歳を鯖読み霞みけり
17 暖かし呪文で開ける古金庫 18 桃咲いて桃色部落と呼ばれけり
19 万愚節産む機械だと嫁に出し 20 麗けし振り込む程に金持たず
21 お入学ちからの入る化粧かな 22 早乙女の八十歳が田を植ゑる
23 衣更バツ一などは当たり前 24 新緑に骨の髄まで染まりけり
25 見ぬときは力抜きたる鯉幟 26 鯉幟畳みて吐かす本音かな
27 一本刀を背なに浴びたる蝉の殻 28 花南瓜畑を職場と決めにけり
29 目雛の相なくて悔しき業平忌 30 捩花やものの弾みで捩れたる
31 お忍びの恋は叶はぬ蛍かな 32 草刈女大きな尻を向けにけり
33 巣燕や舐めて昭和の切手貼る 34 妻呼べば猫が寄り来る端居かな
35 そのうちに離婚の二人冷奴 36 置く物の無きが自慢の夏座敷
37 ブランドの濡らしてならぬ水着かな 38 飽くまでも白を切りをり冷奴
39 江戸弁になりて倅の帰省かな 40 世の詐欺師みんな出て来よ星月夜
41 一葉落つ亡者で混める現世かな 42 敗戦日木炭バスの尻を押す
43 人の歳数へてゐたる敬老日 44 月明やお迎への来ぬかぐや姫
45 銀座まで言って来たよな案山子かな 46 柿喰うて鐘がなるかと耳澄ます
47 大根と丸太の如き脚洗ふ 48 願ひごと小銭で済ます神の留守
49 歳晩や打つほど曲がる棚の釘 50 戦せし兵と思へず日向ぼこ



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