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有吉堅二 (ありよし けんじ)
1 春の海のたりともせで暮れにけり 2 四月馬鹿テレビは詫びる人ばかり
3 花房の重さに藤の肩の凝り 4 丹念に髭剃るバレンタインの日
5 黄金週間留守番電話の友ばかり 6 スポーツ紙の桜坂尻に花の宴
7 かかりつけの医師と同病花粉症 8 降ろされてほつと息つく鯉のぼり
9 頬杖をつくためだけの春炬燵 10 覚えなき泥吐かされて浅蜊泣く
11 心頭を滅却できずビアホール 12 サングラスの漢に道を譲りけり
13 揚花火喉仏にも見てもらふ 14 血を分けた仲の蚊なれど容赦せず
15 ファスナーを締め忘れけり蝉の殻 16 花魁草と知りしときより水を遣り
17 ダックスフンドの胴のびきつて夏終はる 18 泳げない神主仕切る夏開き
19 蝿叩き構へて待つて疲れけり 20 臍出しの女と並ぶ暑さかな
21 少子化の村のにぎはふ敬老日 22 柿食ひつつ鐘の鳴るのを待つてゐる
23 洋梨の器量を言つて怒られる 24 同棲が同姓となる秋日和
25 見栄で買ひし松茸悔いを噛みしめる 26 狛犬の手持ち無沙汰や神の留守
27 「軽老」と思つてしまふ敬老日 28 耳鳴りを伴奏に聞く虫の声
29 免罪符めきしを胸に赤い羽根 30 敬老日生命線をなぞりけり
31 物忘れする顔振れの年忘れ 32 アルキメデスの原理諾ふ柚子湯かな
33 悪人も混じってゐるはず初詣 34 両耳の有難さ知るマスクかな
35 煤掃きやついでに済ます耳掃除 36 嘘書けず本当も書けぬ日記買ふ
37 五年日記買ひて長生き疑はず 38 蒲団干す親の仇のごと叩き
39 探梅の道は続くよ縄暖簾 40 効かぬはずけなしつつ飲む風邪薬
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