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青山桂一 (あおやま けいいち)
1 鳥どちの方言多彩春耕田 2 返ること算段しをり春の鴨
3 春泥や猫も縁先歩みをり 4 川幅を測りをるらし春の鴨
5 ムスカリの土筆のさまで土手にをり 6 栖(す)を忘れ雲雀茫然ホバリング
7 青を踏む田畑おおむね草葎 8 家建たぬ狭間なれども春耕す
9 剥かれたるバナナに似たる木蓮花 10 残る鴨鯉につきあひ頼みをり
11 残る鴨誰が決めたかこの川は 12 菅工事あちらこちらで春の道
13 夏の鯉ムーンサルトで鯉洗ふ 14 尾の切れし蜥蜴が疾走梅雨晴れ間
15 梅雨さなか蔓は四方へ逃げ惑ひ 16 夕立浴び長き草蔓さらに伸ぶ
17 待ちゐたり炎昼を解く風来るを 18 夕立見る人と鳥とが四阿で
19 黒南風にいかに耐へしか野良の猫 20 川岩に一家で縋れる夏の亀
21 幼には押すが怖かりラムネ瓶 22 破れ寺の育ち過ぎたる今年竹
23 田にあるは身を細めたる夏雀 24 わるさして猫炎帝に睨まれる
25 ごきぶりのわが耳に入り死に至る 26 夏の夜を金釘流で阿波踊
27 田畑へはもぐら脅しか大夕立 28 子燕や正菱型の口となり
29 柿食へと言はずに網を木に懸ける 30 泡立草日本の田畑囲みをり
31 蔓などは構はないでと牽牛花 32 稀に見る景であるらし稲架襖
33 節つきで啼き続けをり秋鴉 34 広き田にお標(しるし)ほどに稲架ありて
35 天高しはやりであるか数独誌 36 大根の首刎ねられて畝住まひ
37 川普請今年も鴨に栖(すみか)なく 38 枯野なりモンロー・ウォークの鴉どち
39 渡り来て鴨も狼狽川工事 40 おひおひに鴨渡り来て川狭し
41 部屋内を方形に掃く年の暮 42 半月の聖木建てあり俄使徒
43 隊列は組まぬままなり寒鴉 44 意気がるも拗ねるも止せよ成人日
45 どれ程も滑空できぬと寒鴉 46 下るより上るを好む鴨の性
47 鴨の場を遮りをりし川普請 48 寒日和枝を払ひて空開く
49 里鳥の方言著し冬木梢 50 とりどりの猫居揃ひて冬うらら



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