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安藤淑子 (あんどう よしこ)
1 英会話始める決意万愚節 2 啓蟄や嬰やや眼を凝らし這い始む
3 鳥帰る鳥語に聞き耳頭巾欲し 4 ハーモニカ奏でる蝶々ハ長調
5 新幹線菜の花畑を真二つ 6 ゆく春や時間よ止れ風止れ
7 花の旅笛吹きケトルに急かさるる 8 向ひ合ふ不協和音のうかれ猫
9 右手めて赤城左手ゆんでに浅間花吹雪 10 駆けかけて子等点になる春広野
11 山の湯に病める吾子あり春の雪 12 陽ざし来て春蝉斉唱フォルティシモ
13 御佛の掌厚し夏木立 14 迎へ火につき纏ふ蝶吾子ならむ
15 赤子泣きその兄も泣く残暑かな 16 ハドソンを数カ国語の川下り
17 どよめきの中に竿灯揃ひたつ 18 かけ声に跳ね人輪になるねぶたかな
19 大鉄橋滴る山と山繋ぐ 20 トンネルの小さき行く手山滴る
21 ふるさとの寺はきんきら銀やんま 22 日盛りの銀座颯爽と黒帽子
23 日盛りの歩巾大きく脛白く 24 氷水揺れチェコグラス響き合う
25 木下闇背後に視線ある気配 26 雲の上又雲走る野分かな
27 落葉松の幹ごと揺らす野分かな 28 秋の虹くぐりて吾が機着陸す
29 歌も止み山の湯宿に虫すだく 30 金色に風染めて散る唐松葉
31 小春の空裂りさいてゆく飛行機雲 32 救急車霧に消えゆく回転灯
33 折れそうな痩躯に百箇林檎なる 34 寒林の縞目正しき日ざしかな
35 稲穂垂れ身ぐるみブランドへのへのさん 36 競りの声横目に鮟鱇のたりかな
37 春北風ふんばって立つ送電塔 38 花柊こぼるる中の別れかな
39 ついの日もかくあらまほし冬満月 40 風に酔ひ舞ひ舞ひ下りる奴凧
41 眉間に皺寄せて羅漢の花粉症 42 芋坂を駆けて餅屋へ冬帽子
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