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鬱の字がマス目はみ出る五月闇 |
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新記録でました水着替へたから |
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釣上げた鮎てのひらで主張する |
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鉄砲水すべてを忘れ去るように |
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黙契の六月三日晴れだろう |
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梅雨の蝶なんじ姦淫するなかれ |
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身中にもやもやの虫飼つてゐる |
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梅雨さなか五感が赤を拒絶する |
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指先からしたたり落ちる汗を見た |
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梅雨の入り外資ファンドにのめり込む |
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凄まじいいぢめ目高の学校に |
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病んで知ることの多きや魂送り |
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昼間見しあれは確かに鵙の贄 |
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よるべなきこの身と秋の金魚かな |
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枯蟷螂ベテランらしい顔かたち |
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針供養すこし悲しい母の恋 |
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さくらんぼ急に逢ひたくなつてくる |
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佐保姫から天地無用の荷が届く |
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陽炎と回転木馬から降りる |
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凝りすぎた嘘が通じぬ四月馬鹿 |
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透明な傘へ淡雪すきとほる |
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涅槃図の隅に気取つてドラえもん |
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昭和の子ラムネの喇叭飲み得意 |
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しばらくは逢へぬカルチャー夏休み |
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春愁のきはみ学校五日制 |
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青息も吐息もなぜか黴臭い |
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水中花へミネラルウオーターを注ぐ |
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ピント少し外れて写る七五三 |
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独り居にエンゲル係数のうなぎ |
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唐辛子煮つめすぎてる妻の乱 |
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老いてなおバレンタインデーの期待 |
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サングラス替へて男を寄せつけず |
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カーナビに逆らつてゐる雪の道 |
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雑炊ができあがる頃眠くなる |
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マイペース崩さず春の海のたり |
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一葉も英世も馴染む春財布 |
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木の芽和へ歯間ブラシにひつかかる |
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ウオームビズ疾うの昔に貼るカイロ |
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綿虫を拡大コピーしてみよか |
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無防備な母へ水鉄砲射つ |
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シュレッダーにかけし書類の九月尽 |
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新蕎麦を不協和音がすすりだす |
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烏瓜ぶらり取り付く島もない |
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困らせるために次々舞う枯葉 |
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身内みな少子化年玉が余る |
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くたびれてしまったらしい走馬灯 |
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蛞蝓に鈍感力は負けてない |
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好物をまず平らげる生身魂 |
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秋の蚊を少し許している腕 |
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春の果海路に欲しい信号機 |
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